2021年、上場企業が漏えいした個人情報は574万人分 事故件数や社数は過去最多に
「2021年に上場企業が漏えいした個人情報は574万人分に達した」──東京商工リサーチはそんな調査結果を発表した。個人情報の漏えいや紛失事故を公表した上場企業(その子会社を含む)は120社、事故件数は137件で、過去最多となった。
「2021年に上場企業が漏えいした個人情報は574万人分に達した」──東京商工リサーチは1月17日、そんな調査結果を発表した。個人情報の漏えいや紛失事故を公表した上場企業(子会社を含む)は120社(前年比36.3%増)、事故件数は137件(同33.0%増)となり、2012年の調査開始以来、過去最多となった。
2021年に発生した事故で、漏えい・紛失件数が最多となったのは、ネットマーケティングが手掛ける、婚活マッチングサービス「Omiai」の不正アクセス事件で、171万1756件。次いでスイスの国際航空情報通信機構(SITA)への不正アクセスによるANAホールディングスのマイレージ情報流出で100万件、日本航空で92万件と、それぞれ続いた。
137件の事故のうち、最も多かった原因は「ウイルス感染・不正アクセス」が68件(構成比49.6%)という結果に。68件の事故で漏えい・紛失した個人情報は454万554件で、全体の78.9%を占めた。次点で多かった原因は「誤表示・誤送信」が43件(同31.3%)で、メールの送信間違いなどの人為的なミスによるものだった。
事故原因となった媒体別では「社内システム・サーバ」が81件(構成比59.1%)が最多となった。次に「PC」が30件(同21.9%)、「書類」が15件(同10.9%)、「その他・不明」が8件(同5.8%)の順となった。
上場市場別で見ると、最多は東証1部の97社(構成比80.8%)が全体の8割を占め、大手企業がサイバー犯罪のターゲットとされやすい傾向が明らかになった。一方で「ガバナンスが徹底し、情報開示フローが充実していることも公表数が多い背景になっている」と、東京商工リサーチは指摘する。
事故件数の増加には「国外から狙われるケースも多く、ネット社会を巧みに突いた犯罪の巧妙化やグローバル化がある」(同)と説明。顧客からの信用の毀損(きそん)や、膨大な損害賠償などのリスクもあるため、企業はこれまで以上に情報セキュリティへの意識を高め、対応策として人的・物的投資を進める必要があるとした。
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