5Gの影響でANAとJALが米国便を一部欠航に 高度計と電波干渉の恐れ
ANAとJALが、ボーイング777型機での運行を予定していた米国便の一部を欠航にする。米国で開始予定だった5Gサービスの電波が、777型機の高度計に影響する可能性があるという。
全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)は1月19日から、ボーイング777型機での運行を予定していた米国便の一部を欠航にする。米国の携帯キャリアが同日から全面開始予定だった5Gサービスの電波が、777型機の高度計に影響する可能性があるとしている。
777型機に搭載されている「電波高度計」は電波を使って地表との距離を測る仕組み。電波高度計との干渉が不安視されているのは、米携帯キャリアAT&TとVerizon Communicationsが19日(以下、現地時間)に始める予定だったCバンド(3.7G〜4.2GHz帯)の5Gサービス。
米連邦航空局は2021年以降、複数回にわたりCバンドの電波と電波高度計の干渉について警告を出しており、AT&TとVerizonはCバンドでの5Gサービスインを延期してきた。2社は19日の全面サービス開始を断念し、空港周辺などでのサービスを再度延期した。
AT&Tは18日、Cバンドでの5Gサービス開始の延期について「引き続き航空業界と協力していくつもり」とした。一方、米連邦航空局に対しては「航空サービスを中断させることなく5Gサービスを安全に展開するという、約40カ国ですでにできていることをFAAができないことに不満を感じている」と表明している。
ANAとJALは米Boeingからの運行制限を受け、787型機に変更できない米国便を欠航すると決定した。米国以外の国際線や国内線の運行に影響はない。
日本においてもCバンドと同様に3.7GHz帯の電波が5Gサービスに使われるが、NTTドコモなどが電波高度計との干渉について検討済みで、影響については「大きな問題にならない」と結論づけている。
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