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ソニーEV参入から考えた「10年先のEV」(1/4 ページ)

ソニーのEV担当者らを取材した西田宗千佳さんは、さらにその先を予想する。

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 2022年のCESでは、ソニーがEV市場への参入を表明したことが大きな話題となった。正確には「参入意向の検討を表明」だが、非常に大きなニュースなので、筆者にも多数の記事執筆依頼やヒアリング依頼があった。

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ソニーがCESでEV参入(の意向検討)を発表。最大のニュースになった

 実際、CES中にはソニーの責任者にインタビューすることもできたし、多数のヒアリングも行った。

 その結果を記事に反映したのだが、全てを反映したわけではない。電気自動車(EV)・自動運転車の未来を正確に予見するのは難しい。一方で、可能性は非常に広い。

 今回は、妄想に近い予測も含め、「EV前提社会」の可能性を考えてみよう。ソニーがEVで収益を生むと考えた理由も、その「可能性」に賭けた部分があるからだ。

この記事について

この記事は、毎週月曜日に配信されているメールマガジン『小寺・西田の「マンデーランチビュッフェ」』から、一部を転載したものです。今回の記事は2022年1月17日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額660円・税込)の申し込みはこちらから。さらにコンテンツを追加したnote版『小寺・西田のコラムビュッフェ』(月額980円・税込)もスタート。

ソニーのEVとはなんだったのか

 自動運転前提のEVといっても、世代によって考え方は大きく異なる。

 現状のEVは「レベル2+」を想定している。

 ご存じの通り、自動運転には「レベル」設定が行われている。運転主体が「人」なのか「システム」なのか、運転可能なエリアが「限定されている」か「制限がない」かの組み合わせで表現される。

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国土交通省が発表している自動運転のレベル分け

 レベル2までの自動車は、簡単にいえば「人間による運転をテクノロジーが補助する」ものであり、自動車の魅力である「走ること」が大きな価値である。エネルギー源が化石燃料から電気に変わっても、「人を移動させること」と「走る快感」の両方が価値をもつ。

 ソニーのEVは、内側から見ればディスプレイだらけだが、形も機能もまさに「自動車」そのものだ。ソニーのEV開発の責任者である、ソニーグループ常務・AIロボティクスビジネスグループ 部門長の川西泉氏は次のように語る。

 「自動車にもパーソナライズできる領域を相当増やせると考えているんです。人によって乗り味が違う、車の特性を変えてしまう、といったこともできます」

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2020年に取材したソニーの試作EV「VISION-S」の中身。カーブミラーから計器関連まで全てがディスプレイ表示だ。

 乗り味・特性が重要であるということは、自動車を運転する時の快適さや楽しさ、簡単さなどが重要である、ということである。カスタマイズ、パーソナライズは新しい要素だが、自動車としての価値はこれまでと変わらない。おそらく当面、この方向性は変わらないだろう。

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