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「富岳」とAI活用でがんの“薬剤耐性”原因遺伝子を新発見 1日で全遺伝子と薬剤の関係を分析

富士通と東京医科歯科大学が、富岳とAIを活用して、ヒトの全遺伝子を分析し、がん細胞が薬物耐性を獲得する原因を効率的に探し出す技術を開発した。治験に適した患者を効率的に探せるため、臨床試験の経費削減や成功率向上が望める。

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 富士通と東京医科歯科大学は3月7日、スーパーコンピュータ「富岳」とAIを活用して、ヒトのがん細胞についてデータを分析し、薬物耐性の原因となる遺伝子を効率的に探し出す技術を開発したと発表した。分析にかかる時間は1日。治験に適した患者を効率的に探せるため、臨床試験の経費削減や成功率向上が望める。

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実験では、治療薬「ゲフィチニブ」の耐性の原因となる遺伝子の一部を特定

 並列処理が得意な富岳と、物事の因果関係を探し出す「発見するAI」を活用。ヒトがん細胞約600種の薬剤感受性と、各がん細胞株が持つ全遺伝子の発現データを分析し、薬物耐性と発現データの因果関係を調べられる。

 富士通の実験では、本技術で肺がんの治療薬「ゲフィチニブ」の耐性の原因となる遺伝子の一部を特定できたという。既存研究ですでに示されていた遺伝子の他、「SP7」という遺伝子も薬剤耐性の原因となることが新たに分かった。

 今後は、時間や位置のデータも分析対象とし、薬効の仕組みやがんの起源、難病の攻略法などの研究を進めるとともに、創薬や医学分野の現場との連携も強化する。

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