Twitterで話題の“盛り上げロボ”、拍手研究者の社長がロボットとの会話で感じた“課題”を踏まえて開発:2022国際ロボット展
「2022国際ロボット展」に、“元気が出るロボット”が出展されていると話題になっている。話題の拍手ロボット「ビッグクラッピー」は拍手研究者の社長が開発したエンタメロボットだ。
3月9日から開催中の「2022国際ロボット展」(東京ビッグサイト、12日まで)に、“元気が出るロボット”が出展されていると話題になっている。真っ赤な体にたらこ唇、大きな手で見事な拍手を繰り出しながら歌い踊るそのロボットの名は、「ビッグクラッピー」だ。
ビッグクラッピーは、バイバイワールド(東京都品川区)が開発した、拍手で場を盛り上げる盛り上げロボット。高さ約1mの体に手が付いており、左右に体をひねりながら歌って拍手する。漫才のようにせりふを喋ることもできる。
拍手では、周囲に大きく響き渡る音を出す。手の素材はウレタンゴム。手のひらの中央にはくぼみがあり、きれいな破裂音を奏でられる仕組みだ。
社長の高橋征資さん(高ははしごだか)は慶應義塾大学で拍手を研究していた研究者であり、吉本興業所属のクリエイターでもあるという経歴の持ち主。2009年にはIPAの「未踏IT人材発掘・育成事業」でスーパークリエータに選ばれた経験もある。ソフトバンクのペッパーの開発にも関わったという。
ロボットは“堅い”
国際ロボット展に参加した担当者によると、高橋さんがビッグクラッピーを作ろうと考えたきっかけは、ロボットの“堅さ”にあるという。金属に覆われた角張ったロボットより、柔らかい印象を与えられるようなロボットが作りたかったという。
ビッグクラッピーの前身となるロボットは高橋さんが学生時代に開発した。当初は手だけが拍手するシュールなロボットで、製品というには不十分だったという。それをキャラクターとして落とし込むことで親しみやすくしたのがビッグクラッピーだ。
双方向会話に対応しないのは、ロボットとの会話に課題を感じたから
ビッグクラッピーは歌って踊る他に、事前収録したトーク音声を再生して漫才のようなこともできる。独特な音声は社長が吹き込みボイスチェンジャーで加工したものだという。
一方で、人間との双方向のコミュニケーションにはあえて対応していない。ロボットとコミュニケーションする中で、スムーズな会話をするにはまだ技術的な課題が多いと感じたことがきっかけで、双方向のやりとりはせず、1発目で面白いことを言って笑わせるという方向性に舵を切った。
「こんなに話題になったのは初めて。家族から『国際ロボット展に行くなら見てきて』と言われて見にくる人もいてありがたいです」(バイバイワールド担当者)
同機の発売は18年だが、コロナ禍の影響で販売やレンタルの状況は良好。特に携帯ショップやスーパーマーケットなどで人気だという。感染予防のため、呼び込みをしたいが声は出せないという状況の中、ビッグクラッピーが呼び込み役として抜てきされている。
【編集履歴:2022年3月12日午後4時 バイバイワールドへの追加取材に基づいて、双方向会話に対応しない理由、及びタイトルの記述を変更しました】
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