VMware、自宅サーバ愛好家向けに「動作保証はないけど動くらしい」非公式ハードウェアリストを作成 コミュニティーに情報提供を呼び掛け
VMwareが、「vSphere」などの非公式な対応ハードウェア表を作成する。自宅サーバ愛好家や自宅ラック愛好家が利用できるよう、社員が自主的に行ってきた非公式なリストの作成を公式に支援するという。
この記事は新野淳一氏のブログ「Publickey」に掲載された「VMware、自宅サーバ愛好家のために「動作保証はないけど動くらしい」非公式ハードウェアリストを作成開始、コミュニティに情報提供を呼びかけ」(2022年3月15日掲載)を、ITmedia NEWS編集部で一部編集し、転載したものです。
米VMwareが提供する「vSphere」などのシステムソフトウェアには、動作を保証する対応ハードウェアの一覧「Hardware Compatibility List」(HCL)が用意されています。
システムを構築する場合には、このHCLに掲載されているサーバやストレージなどを組み合わせることになります。
しかし業務目的でシステムを構築するのではなく、自宅や仕事の勉強などのためにvSphereを試したい、いわゆる自宅サーバ愛好家や自宅ラック愛好家にとっては、HCLに掲載されている本番環境用に作り込まれたハードウェアは価格が高く、気軽に購入できるものでない場合がほとんどです。
そこで、動くかどうか分からないけれども、とにかく手元にあるマシンにインストールして、設定をあれこれ変えて試行錯誤してみる、ということをしている方も多いでしょう。
そうして試した結果、このハードウェアで動いた、という情報はコミュニティなどのあいだで共有されてきました。例えば米IntelのNUCシリーズなどは、vSphereやNutanixなどが動作する(らしい)手軽なハードウェアとして一部で重宝されてきました。
最近ではArm用のvSphereがRaspberry Piで稼働することが分かっています。
VMwareのシニアスタッフソリューションアーキテクトのWilliam Lam氏は、GitHub上に「VMware Community Homelabs」という名前のページを立ち上げ、vSphereなどが動作したことを報告するブログのリンク集を公開することで、非公式なHCLとしてコミュニティにおける情報共有に一役買っていました。
コミュニティーによる非公式なHCLの作成を公式に支援
このコミュニティーによる非公式なHCLの作成を、VMwareが公式に支援することになったと、前述のWilliam Lam氏がブログ「New VMware Community HCL」で紹介しています。
これは、システムインテグレータなど業務としてシステム構築をする際に、それを支援するものとしてVMwareが提供しているWebサービス「Solution Designer」による、ハードウェアの情報収集機能とデータベース機能をコミュニティーにも開放する、というものです。
HCLに掲載されている公式にサポートされているハードウェア以外に、動作実績のあるハードウェアを登録し、検索することができるようになりました。
例えば、下記の画面は文字が小さくて分かりにくいのですが、前述のIntelのNUCをキーワードに検索すると、すべて「Not Certified」(非公式)ながらも8つの型番がリストアップされ、コミュニティーによって動作実績のあるマシンとして登録されたことが分かります。
この画面は「Hardware Inventry」タブで表示される画面の「Search Popular Hardware」をクリックし、「Model」にキーワード(ここでは「NUC」)を入力することで検索結果を見ることができます。
Solution Designerは、ハードウェア情報を自動的に収集するツールが用意されているため、それを用いることで正確なハードウェア情報を収集し、登録できます。
登録や検索にはユーザー登録が必要。もちろん個人で登録可能です(私も上記の画面を見るために登録しました)。
William Lam氏はより多くの人にこのSolution Designerへの非公式な動作実績の報告を登録してもらえるように呼び掛けています。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、会社のサーバルームでいろんなテストや実験をする、ということが以前より容易でなくなったこともあり、自宅のサーバで好きなだけテストをしたいニーズが高まっている……かどうかは分かりませんが、これはコミュニティーの活性策としてなかなか面白い施策なのではないでしょうか。
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