コンパクトな財布の宿命、「どう閉じるか問題」に驚きのアイデアで挑んだSYRINX「Hitoe Fold Less」:分かりにくいけれど面白いモノたち(4/4 ページ)
そうそう新しいアイデアが生まれてこない「コンパクトな財布」というカテゴリーに登場した斬新なアイデア。
生活の中で出し入れする必要がある紙片の収納場所
しかも、実はこの「Hitoe Fold Less」は、単にカードを3枚にして薄型化しただけではない。カードケース部分の内側をピッグスエードにすることで、カードが滑り落ちることを防ぐなど、小さなバージョンアップを施している。実際、革小物製作は、本業の片手間でやれるほど簡単ではなく、それにも増して、ベストを求めて、マイナーアップデートや新製品の開発を行っているため、「ハッキリ本業に支障が出そうです」と笑う。
「Hitoe Fold Less」(右)と「Hitoe Fold」(左)では、厚さがこれだけ違う。どちらも中に目一杯収納した状態。この差を大きいと思う人のための財布が「Hitoe Fold Less」なのだ
私個人の感想としては、実は、この薄い「Hitoe Fold Less」の方が、以前のカードが多く入るタイプより全然魅力的なのだ。基本的にはキャッシュレス、なるべくiPhoneかクレジットカードで支払い、しかし、まだまだ現金は必要だし、生活していると小銭も出るし、領収書やレシートの収納場所も欲しい。しかし、一方でカードは、クレジットカードと行きつけの本屋のポイントカード、コーヒー店のポイントカードがあれば、日常生活は、ほぼそれで事足りてしまう。別にカードケースにキャッシュカードと数枚のポイントカード、保険証、病院のカードなど、7枚ほどを名刺と一緒に入れて持ち歩いているが、それらは使用頻度が低いので、問題なく使えている。
ミニマムだけれど、ライブなどのチケットが入るサイズであることも魅力だ。そして、紙幣やチケットの出し入れがとても楽なこと。
結局、財布に求めるのは、そういう、生活の中で出し入れする必要がある紙片の収納場所なのだ。それらが、この薄さと扱いやすさで実現されているのだから、使う側としてはなんの文句もない。ポケットに入れての運用を考えた場合、小さいよりも薄いの方が遥かに重要。その上で、薄いだけでなく、この凹凸の無さが薄さをさらに生かす。どこまでも理路整然と構成された、本格ミステリの解決編のような財布なのだ。
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