突然の地震、起きた後でもこれだけは対策しておこう デジタル防災に必要な「3つのポイント」:デジタル防災を始めよう
3月16日午後11時30分過ぎ、福島県沖で強い地震が発生した。今からできる対策は何か、「デジタル防災」を連載中の戸津弘貴さんに急遽、まとめてもらった。
2022年3月16日午後11時30分過ぎ、福島県沖で最大震度6強の地震が起こった。折しも3.11を彷彿とさせる揺れで、SNSのタイムライン上にもさまざまな情報が飛び交った。読者の皆さんはご無事だっただろうか? この連載が少しでも役立っていたならばせめてもの救いと思える。
筆者の自宅も揺れたが、幸い今回は棚に転倒防止対策を施してあり、プラモも乗せてなかったので落下するものもなかった。ダンパー付き制振固定具はかなりの効果があったと思う。
家具の固定をしてなかった人は、この機会に対策を検討してみよう。どうしても難しいという場合には倒れる前提で、家具の配置を変えるだけでもしておきたい。
今回の地震では、TVなどの報道でも身を守る行動の指示や津波からの避難に関して強めの呼びかけが行われるなど、対応がアップデートされている印象を受けた。
原稿を執筆している時点(3月17日午前2時頃)では、大きな被害の報告はなく、広範囲で停電が起きているという情報が最も大きなものであった。
この広範囲な停電は、UFR(周波数低下リレー)によるものと思われ、地震による発電所の停止が同時に起こったことにより、需給バランスが崩れ大規模停電の危険性が生じたために送電システムから需要が切り離されたことによると推定される。
このような場合でも、おおよそ3時間から半日程度で復旧することが多いということなので、モバイルバッテリーやポータブル電源があれば乗り切れるだろう。
3.11のような地震はそうそう起きないという言説もあったが、10年ほどで再び起こってしまった。もはや災害はいつ起こってもおかしくないと考えて、せめてモバイルバッテリーは災害前提の備えをしておくなど準備を進めておきたい。
常に動かしておきたい家電製品がある場合には、ポータブル電源も検討しよう。ポータブル電源の選び方はいずれ詳細な記事にしたいが、安いからと安易に選ぶと使いたい機器を動かせないということもあるので、必要な電力を算出するか、ブレーカー1系統分をまかなえる電源を選ぶのが確実だ。
- 参考:夏の停電対策に大切なこと
明るくなって、スーパーなどが営業するとにわかに買いだめをする動きも見られるが、一気に殺到すると品切れ感だけが生じ、さらに焦って買いだめしたくなるという悪循環に陥りやすい。こんな時のローリングストックでもあるので、過剰に買う必要はない。心配なら日々の必要分からわずかに増やす程度で十分だろう。
買いだめよりも、まず先に、必要書類の電子化はすぐにやっておきたい。
今回の地震や停電で家電製品が壊れたりした場合、地震保険や火災保険を使うことになる可能性もある。いずれにしても保険証書をチェックして保険が支払われる条件などの確認をしておこう。そして、そのついでにスキャンをしておけば完璧だ。次からは書類を引っ張り出さなくても確認できる。買いだめするくらいならScanSnapを買いに行くべきだろう。
マイタイムラインのアップデートと、防災スタイルの取り組みを進めよう
阪神淡路大震災の時も、3.11の時も昼間だったので避難は比較的容易だった。今回は深夜に起きたため、動揺も大きかった。その後に起きた停電でさらに混乱してしまった人もいたかもしれない。深夜の災害発生を想定していなかった人は、この機会にマイタイムラインをアップデートしてみよう。連載初回で紹介したセンサーライトを導入するのも一つの手だろう。
身構えている時には、死神は来ないものだ(CV:古谷徹)
東海地震が来る、来ると言われ続けて防災訓練や備蓄、非常持ち出し袋などを準備している静岡県を尻目に東北や熊本などで相次いで地震が起こったりと、災害は思いも寄らない場所で起こるものだ。今回も、3.11の揺り返しがあるかもしれないと言われつつも、同じくらいの規模で10年そこらで揺れることはないだろうという思い込みがなかったとは断言できない。
もちろん、常に災害を強く意識して生活することは難しいが、社員証のストラップにはホイッスルが組み込まれたものを使うとか、モバイルバッテリーは常に2個持って移動するとか、普段の行動に防災対策、防災スタイルを取り入れることはできると思う。
キャンプに出掛けるまでもないが、ベランダでコーヒーを入れて気分転換するために持ち運びできるガスコンロを用意しておけば、それが万一の際に活躍するかもしれない。
革靴ではなく長時間、長距離歩ける靴にする、手提げ鞄でなくリュックタイプにするなどでもよい。できるところから始めてみよう。
最後に、デジタル防災の面から重要なポイントを3つ、示したい
デジタル防災3箇条
- 不確かな情報やデマなどは拡散しない、信頼できるアカウントや防災アプリを活用
- 大事な書類は電子化と(クラウドとローカルなど)2重のバックアップを
- バッテリーなどデジタル備蓄も万全に
「備えあれば憂いなし」「備えよ常に」。古くから言われ続けていることだが、やり続けるのは難しい。難しいが「身構えている時には、死神は来ないものだ」。常に備えて、身構えていられるように、防災を習慣づけたい。
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