パン・チルト・ズームができるWebカメラでワンオペがはかどる 「OBSBOT Tiny 4K」の意外な使いどころ:小寺信良のIT大作戦(3/3 ページ)
高額だが、その値段を出すに値するWebカメラを見つけた。配信のワンオペができるのだ。
サンプル動画
サンプルの動画は、QuickTimeを使って録画したものだが、4K/30p入力をHD解像度で記録している。画質や色味、コントラストはなかなか良好だ。ただ色味やホワイトバランスを調整する機能がないのは惜しい。オートでも悪くないが、バーチャル背景と合わせたときに、色味を背景の方に寄せたいというときが困る。
難点がもう1つ、マイク感度がかなり低いということだ。マイクはPC内蔵を使ったり、別途マイクを繋げば解決するのだが、多くのWebカメラが、人の喋りをメインに捉えてマイクにかなり力を入れているのに比べると、出自がジンバルカメラというところが響いているようだ。
一方でジェスチャーによるコントロールはかなり正確に動く。カメラに向かって指でL字を作って見せると、指定された倍率へデジタルズームを行なう。もともと4Kの解像度があるので、最大4倍まで拡大してもまだHD解像度である。HD解像度で録画や会議をしているなら、4倍までは寄れると考えていいだろう。
また、3つのパン・チルト・ズームの値をプリセットすることができるので、3つのポジションを切り替えることもできる。リモコンを併用すれば、ソフトウェアを触る必要がないので、ワンマンオペレーションができる。
1カメでやれる範囲を拡張する
リモート会議やライブセミナーなどでパン・チルト・ズームが使えると、イベントの質はかなり上がると期待できる。しかしこれまでのIPベースのPTZカメラは、価格もそこそこするのに加え、気軽にPCにプスッと挿してZoomのカメラとして使うといった用途を想定していないものが大半である。
それがWebカメラ形式になっていることで、簡単にセットアップできる点は大きなポイントだ。カメラポジションが変わると露出も変わっていくが、顔に対して常に露出が合うように設定できるので、多くのシーンでうまく使えるだろう。
カメラが動くことや、3カ所まで位置がプリセットできることで、これまで複数台のカメラとスイッチャーが必要だった演出も、カメラ1つでできるようになる。
特に今、学校では急遽リモート授業になる場合も少なくないが、ノートPCのカメラだけで、どうにかリモート授業をやっているケースも見られる。だがこのカメラがあれば、黒板に書いていくタイプの普通の授業でも、適宜カメラが寄り引きできて、特定の位置へカメラがプリセットできるだけで、生徒への見え方もかなり変わってくるのではないだろうか。
価格は4Kバージョンが約3万円、HDバージョンが約2万円と、Webカメラというジャンルで考えれば高額に見える。だがIPベースのPTZカメラだと、安いものでも10万円ぐらいすることを考えれば、かなり安い。
スマートフォンとジンバルの組み合わせでも、オートトラッキングを実現するものはある。だがWeb会議のノウハウだけで、ライブで多くのアングルがこなせることを考えれば、それとはまた別の使い方が見えてくるのではないだろうか。
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