EU、ビッグテック規制の「Digital Markets Act(DMA:デジタル市場法)」に合意
欧州連合(EU)は、2020年12月に欧州委員会が発表したビッグテック規制法案「DMA」に合意した。アプリストアでの支払い方法の選択や、メッセージングアプリの相互運用性、企業買収に関する法案だ。発効すれば、Apple、Google、Meta、Amazonなどに大きく影響する。
欧州連合(EU)は3月24日(現地時間)、欧州委員会が2020年12月に発表した法案「Digital Markets Act(DMA:デジタル市場法)」に合意したと発表した。いわゆる「ビッグテック」、Apple、Meta、Google、Amazonなどのビジネスモデルに大きな影響を与える可能性がある新たな独禁法だ。早ければ10月に発効する見込みだ。
DMAは、企業を買収する際の当局への事前通知や、自社製品の優遇の禁止などを規定する。EU人口の10%に当たる4500万人以上のユーザーを擁する企業を大手と定義し、規制対象とする。重大な違反には、年間売上高の最大10%の罰金、EU域内での業務停止、企業の分割などの罰則がある。
まだ可決されたわけではなく、欧州議会とEU加盟27カ国による正式採択を待つ。欧州委員会のコミッショナー、マルグレッタ・ヴェスタヤー氏は会見で、DMAは10月中に施行されることを期待していると語った。「DMAは、ゲートキーパーとなっている企業にとってのルールを設定するだろう」(ヴェスタヤー氏)
ゲートキーパーとは、アプリストアなどの自社のプラットフォームで独占的な行為を行っている企業を指す。DMAの主な項目は以下の通り。
- アプリのプリインストールの禁止
- メッセージングサービスの基本機能の相互運用性の確保
- 買収と合併についての欧州委員会への通知
- 製品やサービス内での自社優先の禁止
- サービスで収集した個人データの別サービスでの再利用の禁止
- ビジネスユーザーへの不公平な条件確立の禁止
- アプリストア登録開発者に支払いシステムなどの特定サービス使用強制の禁止
ゲートキーパーと目されるAppleはThe Vergeなどに対し「DMAの項目の一部は、ユーザーに不要なプライバシーとセキュリティの脆弱性をもたらし、また、多額の投資を行ってきた知財への課金ができなくなることを懸念している」という声明文を送った。GoogleはEuronewsに「DMAの、消費者の選択と相互運用性に関する多くの項目を支持するが、イノベーションと現在ある多様な選択肢に対する潜在的なリスクについて懸念を持っている」という声明文を送った。
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