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「練馬のものは練馬に」時代が終わった シェアサイクル通勤してみて分かったことシェアサイクリング・ブギ(1/3 ページ)

東京都練馬区はドコモのシェアサイクルを採用している。しかし、区の外とはつながらない、閉じたシステムだった。それが4月1日に変わった。

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 4月1日は、練馬区民にとって待望の日だった。練馬区で最も使われているシェアサイクルサービス「ドコモ・バイクシェア」が、東京都の他区とつながるようになったからだ。

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練馬区の告知

 ドコモ・バイクシェアは2012年にスタートした、自転車シェアリングサービス。練馬区は遅れて2018年に対象となった。しかし、他の地域とはつながらない「鎖国」状態での運用だった。練馬区内で乗り始めたら、練馬区で返却しなければならない。「カエサルのものはカエサルに、練馬のものは練馬に返しなさい」というわけだ。さらに、シェアサイクルが置かれている場所(サイクルポートと呼ぶことが多い)は練馬区全域というわけではなく、石神井台、上石神井、大泉学園、光ヶ丘という一部地域に限定されていた。

 区外にシェアサイクルで行こうとすると、別のサービスを使わなければならなかった。このため筆者は競合サービスのHELLO CYCLINGを併用していた。都心部まで広く使えるHELLO CYCLINGにも弱点があり、練馬区でのポートが数が少なく、我が家からは15分から20分くらい歩かなければならない。ラストワンマイルの助けにはならない状態だった。

 ドコモ・バイクシェアとHELLO CYCLINGを乗り継いで自転車通勤したこともあったが、ルート設定や乗り換えるサイクルポート選びがなかなか難しかった。自宅近くのサイクルポートから上石神井駅まではドコモで、そこから5分くらい歩いてHELLO CYCLINGに乗り換えて四谷まで。そこから15分くらいかけて会社へというのが最適なルートなのだが、四谷で返却するための空きがないと、別のところを探さなければならない。帰りはまた別の問題があって、四谷のHELLO CYCLINGには帰宅するための自転車がなかったりする。そうすると、市ヶ谷のかなり裏手の方まで行く必要があり、自転車に乗るまでに20分くらいかかることになる。

 状況が一気に変わったのがこの4月だ。

 練馬区では社会実験の次のフェーズとして、「区内全域への拡大」と「他自治体との相互乗入れ」を可能にした取り組みをスタートしたわけだ。

 ドコモのシェアサイクルが練馬区内限定から、都心部まで行って返却したり、そこから乗って自宅近くのサイクルポートに返却したりというのが可能になった。それは素晴らしいことだ。そのくらいに思っていたのだが、ちょっと様子が違っていた。

 ドコモ・バイクシェアからはこのような案内が来ていた。

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ドコモからのお知らせ

 ドコモはサイクルポートの台数が固定ではなく、ポートの敷地内であれば多少無理にでも止めて返却ができるというところが便利だった。朝夕の通勤・帰宅時にはサイクルポートがいっぱいになり、返却できないことがありうるが、その心配がないからだ。それが、4月から一部のサイクルポートでできなくなる。その理由として、サイクルポートの規模が縮小されたということを挙げている。

 練馬区で最もよく使われるサイクルポートの1つである、石神井公園駅南口のドコモ・バイクシェアのサイクルポートが半分に縮小されている。空いたスペースにはHELLO CYCLINGが進出したのである。これまで、大泉学園、上石神井にはあっても、石神井公園駅にはなかったのが、一気にメジャーデビューだ。

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石神井公園駅南口のサイクルポートは2社が分割統治

 さらに、練馬区内のポートが増えて、歩いて5分くらいの近所にも設置された。ドコモほどではないが、これまでとは比べ物にならないくらい便利になったのだ。

 練馬区民としては、ドコモとHELLO CYCLINGというシェアサイクリングの選択肢ができたことになる。社会実験での選定業者にはこの2社がどちらもリストアップされており、どちらも広域にアクセスできる。これはもう「練馬区の開国」と言ってもいいのではないだろうか。

 ただ、HELLO CYCLINGはオフィスのある千代田区に関してはちと弱い。一方、ドコモ・バイクシェアは会社がテナントとして入っている麹町のビルにサイクルポートがあるのだ。ポートに返却して10歩でビルに入れるというすごい立地である。

 というわけで、今回はドコモのシェアサイクルを使って自宅から会社まで「通勤」してみた。

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