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コラム

乱立するメタバース関連団体 養老氏率いる「メタバース推進協議会」に“不思議さ”を感じるワケ(3/4 ページ)

2021年末以降、メタバースには急速に注目が集まっている。その関係からか、日本国内だけでも、筆者が把握できる限り、すでに4つの関連団体が作られ、乱立との指摘もある。養老孟司氏率いる「メタバース推進協議会」はどんな目的を持って作られたものなのか、会見に参加した筆者の視点から考えてみた。

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技術領域の参加者が少ない不思議

 ただ逆に、リストの中には、すでにメタバースを手掛けている企業の名前は見受けられない。

 ANAがテレイグジステンス領域で「アバターイン」という子会社を持ち、技術開発とビジネス展開を進めているが、そのくらいだろうか。メタバースのプラットフォームを作る企業の姿はないし、メタバース向けに積極的にコンテンツを作っている企業もいない。

 以下は、会見で配布された資料からの抜粋だ。今後公表予定の理事の欄が、非常に幅広い業界で構成されることが強調されている。ただやはり、実際にメタバース自体の構成に関わる企業は「情報通信業」の1行にまとめられている。最初の段階でそうした業種の姿が薄いのは気に掛かる。


会見で配られた資料より。役員構成の中で、メタバースで実際に手を動かしている関連企業は「情報通信業」の1行にまとめられ、幅広い業種からの参加が強調されている

 この点について会見で質問すると、事務局側は「今後もそれらの企業を入れない、というわけではない」「現実の世界でコンテンツを持っているところが入っているのが本協議会の特徴」と答えている。

 廣瀬氏は技術を理解している立場から、次のように説明する。

「技術を使ってもらう立場からいうと、面白い使い方をするのはコンテンツをお持ちの方々。逆にそうした方々の意見を聞いてみる方が、技術側からしたら面白いのではないかと思います」(廣瀬氏)

 確かにそれはその通りなのだが、関係企業が含まれないことの言い訳としては少々弱い。プラットフォーマーがどこかだけ入ると偏る……という部分もあるようだが、ならば、プラットフォーマー以外の企業、通信会社やゲームメーカー、スタートアップなどの姿があってもよかったのではないか。

 また、事務局からは「スピード感を持って経済圏を構築するにしても、最初の要である文化というものを理解された方、それから政治、経済という順に構成していくべき、と考えて、このような方々にお力をお借りしている次第」ともいう説明もあった。

 これは、聞きようによってはずいぶんと失礼な物言いにも感じる。

 会見資料では、活動内容として以下のような図が示されている。


会見資料より「活動内容」の説明図。ここでピースとなっている業種の核になるのは「情報通信業」だと思うのだが。

 この図のイメージはとても分かるのだが、これらの領域を手掛けているのはほぼ「情報通信業」ではないか。

 参加企業の偏りがもう少し小さければ、印象は違ったかもしれない。

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