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持続時間2倍・外部電源でガン冷え 「REON POCKET 3」を試して分かったその進化っぷり小寺信良のIT大作戦(2/4 ページ)

「着るエアコン」ことソニーの「REON POCKET 3」。3世代目になってどう変わったのか、試してみた。

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ポイントは自動制御

 REON POCKETの仕組みを簡単にご紹介しよう。裏面に金属プレートがあり、これを背中、首のちょっと下あたりに直接接触させることで涼感を感じさせるという仕掛けだ。このプレートを冷却しているのが、「ペルチェ素子」である。

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背面。左からREON POCKET(初代)、REON POCKET 2、REON POCKET 3

 10年前に散々PCを自作したという人は懐かしいと思われるかもしれない。ペルチェ素子は、一定方向に電流を流すと底面で吸熱(冷却)し、表面で発熱(加熱)するという性質を持っている。必ず一定の温度差になろうとするわけだ。発熱面をヒートシンクやファンで冷却すると、底面はさらにもっと冷えるというわけである。高クロックCPUなど、通常の空冷だけでは間に合わないようなデバイスにこれを用い、強力に冷却する。

 本来は摂氏100度超えのデバイスをガバッと強制冷却するために使うデバイスなので、37度程度の人体をちょこっと冷やすみたいな用途で使うのは、かなりコントロールが難しい。だがそれをやってのけたのが、REON POCKETだったわけである。

 今回REON POCKET 3で採用したペルチェ素子は前作とは特性が違うもので、素子の抵抗率が下がったことで、約40%の電力がカットできている。さらに吸熱力で1.5倍の効率化を果たし、前作と同じバッテリー容量で駆動時間を2倍に伸ばした。ただしこれは最大で冷却した時の数値で、弱冷却ではその差は小さくなる。

 REON POCKET 3最大の特徴は、冷却時に「SMART COOL MODE」を搭載したことだ。これは本体内の温度センサーやモーションセンサーを使い、行動や服の中の温度を検知、狙った温度に対して温度を下げていき、その温度に達したらそれよりも下がりすぎないよう自動調整するというものだ。

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ターゲット温度へ向けて温度を下げていく「SMART COOL MODE」
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ターゲット温度も微調整が可能

 従来は4段階のモードがあるのみで、設定した段階に応じた電流を流し続けるという構造だった。ただこれでは、屋外から室内、またはその逆など、環境が変わったときにいちいちスマホを取りだしてモードを変更しなければならない。一方SMART COOL MODEであれば、常に一定の温度に保とうとするため、外に出れば強く、室内に入れば弱くなる。

 これは、操作の手間を減らすという以上の目的がある。日本能率協会が3月に公開した「ビジネスパーソン 1000 人調査」【ビジネスマナー編】 によれば、マナーとして気になる行動として、「会議や打ち合わせ中に携帯・スマートフォンをいじる」を上げた人が、社外・社内ともに約7割という結果となっている。

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日本能率協会による、ビジネスマナーに関する調査

 営業などで顧客先へ訪問中に、冷えすぎるから、ファン音がうるさいからといって、ごそごそとスマホを取りだしてモードを変えるというのもはばかられる、というわけだ。これはREON POCKETが都市部のビジネスマンを中心に導入が進んでいるという結果ともリンクする。

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