2020年に香川県で制定された「ネット・ゲーム依存症対策条例」を巡る違憲裁判の判決が、8月30日に言い渡される。香川県の高松地方裁判所は5月16日に全ての審理を終了した。
裁判では、条例を巡る科学的な根拠の正当性や憲法上の解釈、について議論されたが、原告側の代理人が3月に辞任。4月25日には原告側が訴訟の取り下げを申請した。香川県側はこれに同意せず審理を継続。16日に結審となった。
同条例は18歳未満の子どものネット・ゲーム依存症を防ぐため、県や保護者、通信事業者、ゲーム制作会社などの責務を明記したもの。「ゲームは平日1日60分まで」「午後10時以降はゲーム禁止」などの制限が記されておりネット上やゲーム業界などで物議を醸していた。
当時高校生だった香川県のわたるさんは、クラウドファンディングで集めた資金を基に、20年9月に「香川県の『ネット・ゲーム依存症対策条例』は違憲」として、県を相手取り高松地方裁判所へ提訴していた。
代理人の辞任理由について、わたるさんは「守秘義務なので控えさせていただきます」としている。訴訟取り下げの理由については「新たに代理人になる予定の弁護士が(裁判を)最初から行いたい」と申し出たためとしている。
訴訟取り下げを拒否した理由について香川県議会に問い合わせたところ「担当弁護士と協議の上で決めたことであり、詳細はお伝えできない」とのみ回答があった。
今後の訴訟予定やクラウドファンディングの扱いなどは、わたるさんに問い合わせ中。新しい情報があればお伝えする。
関連記事
- 香川県のネット・ゲーム規制条例案、事業者にも自主規制求める文面 eスポーツの活発化にも言及
香川県のネット・ゲーム依存症対策条例案に、ゲーム開発者や通信事業者に向けた項目があると一部で話題になっている。同県はゲーム開発事業者などに依存性のあるゲームについては自主的に規制するよう求めるとしている。 - ネット・ゲーム規制条例案、秋田県大館市教委も提案へ 香川県きっかけに
秋田県大館市教育委員会が、子どものインターネット・ゲーム依存を防ぐための条例制定に向けた議論を始めた。香川県のネット・ゲーム依存症対策条例制定に向けた動きがきっかけの一つになったという。 - 香川のネット・ゲーム規制条例案、県民賛成87%、県外0% 具体的な内容を県議に聞いた
香川県議会は、ネット・ゲーム依存症対策条例案について検討会を開き、県民や県外の事業者から集まったパブリックコメントの結果を発表した。2600件以上の意見が集まったが、県民は賛成87%、県外事業者は賛成0%と、県内外で意見が大きく分かれた。 - ゲーム業界は対応の予定なし 香川県ネット・ゲーム規制条例 「未成年保護は発案前から行っている」
ゲーム開発事業者や通信事業者は、香川県のネット・ゲーム依存症対策条例成立を受けた特別な対応をとる予定はないとしていることが、ITmedia NEWSの取材で分かった。 - 香川県、ネット・ゲーム規制条例のパブコメを地元メディアに全件公開 記載IPアドレスに疑問の声も
香川県議会が「ネット・ゲーム依存症対策条例」に対するパブリックコメントの全意見を、地元メディアに開示した。資料に記載されたIPアドレスを巡り、一部で「県議会内部から複数の意見が送られたのではないか」と疑問の声が上がっている。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.