シェアサイクル「Charichari」(旧メルチャリ)が熊本進出 経済活性化に市が期待、利用環境には課題(3/3 ページ)
旧メルチャリこと「Charichari」が、熊本市でシェアサイクルサービスを始めた。同市初のシェアサイクル事業とあり熊本市は地域経済の活性化に期待を掛けるが、利用環境を見てみると普及には課題もありそうだ。
「採算ラインは1日4回利用」
neuetの家本賢太郎代表取締役は、熊本市内での採算性について「ベーシックタイプ、電動アシストタイプともに、1日4回程度の利用で採算ライン」という。
「1日4回」はどの程度の利用頻度なのか。Charichariの利用実績に基づいて計算すると、熊本以外の3都市で1日当たりの利用回数が1万6000回以上、自転車台数が合計で3100台であるため、1台当たりの利用回数(1日)は5.1回を超える計算となる。なお、これは3都市を平均した数値のため、ポートの密度・自転車台数が大きい福岡市内ではより高く、ポートの密度や自転車台数が十分ではない地域ではより低いと考えられる。
このため、サービス展開済みの他の都市と同規模のポート密度・自転車台数でサービスが提供でき、同程度にサービスが使われれば、採算性に関する問題は解決できそうだ。
採算性でいえばCharichariは自転車のドレスガードに広告を掲載しており、自転車に掲載する広告でも収益化を狙っている。同様の取り組みは、ドコモ・バイクシェアのサービスでも見られる。
新型コロナの追い風と向かい風
Charichariの利用実績や、過去に掲載したシェアサイクルに関する記事で紹介した通り、新型コロナウイルス感染症の拡大は、交通手段を電車やバスから自転車に切り替えるという意味では、シェアサイクルに追い風となっているようだ。
一方で、中国の上海などで行われているロックダウンによる生産・流通機能の一時停止の煽りは、国内のシェアサイクル事業者も受けている。これによりシェアサイクル用の自転車が計画通りに製造・納品されないなどの影響も出ている。
シェアサイクルを実際に使っていると、“使いたい時に、利用できる自転車が見つからない”というユーザー視点での課題を感じることも多いのだが、これにはコロナ禍による需要増と、製造面での供給減の両面の影響があるようだ。
【修正履歴:2022年6月2日午後0時20分 サービス名について当初「ChariChari」と表記していましたが、正しくは「Charichari」だったため修正しました】
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