macOSとの機能統一が進む「iOS 16」「iPadOS 16」 Appleの狙いとは(3/3 ページ)
米Appleの開発者会議「WWDC22」が開幕した。基調講演では、新しいプロセッサ「M2」やそれを搭載した「MacBook Air」など、ハード面での新たな発表も注目されたが、大きな関心を呼んだのはやはり、アップルの各デバイスに向けたOSの新機能であろう。
機能統一が進む3つのOS、今後の進化は機器間連携に
ただiOSとiPadOS、そしてmacOSの進化の方向性にいくつかの違いがあるとはいえ、今回発表された内容を全体的に振り返ってみると、新機能のかなりの部分が3つのOSで共通して利用できることが分かる。
実際基調講演の中でも、「メッセージ」「メール」「Safari」といった基本アプリや、「テキスト認識表示」「画像を調べる」などの機能強化、先に触れた「共同作業」や「iCloud共有写真ライブラリ」など、新たに追加された機能の多くは3つのOSで共通して利用できることがアピールされていた。また従来iPadOSになかった「天気」アプリが追加されるなど、各OSに不足している要素を埋めるかのような動きも見られた。
それを実現できたのは、無論プロセッサのアーキテクチャがApple Siliconに統一され、性能の違いこそあれど同じアプリが動作するようになったことが大きい。それだけに今回のWWDCにおける各OS間の機能の共通化は、アップルがMacのApple Silicon移行によるアーキテクチャ統一化の総仕上げに至る動きと見ることができよう。
では、アーキテクチャ統一、機能統一の次にアップルは何を推し進めようとしているのは何かというと、各デバイス間の連携を一層強めることではないかと筆者は考える。中でも今回のWWDCの発表でそのことを示していたのが、macOS Venturaの新機能の1つとしてアピールされた「連係カメラ」だ。
これは、iPhoneとMacをワイヤレスで接続し、iPhoneのカメラをWebカメラとして活用するというもの。性能の高いiPhoneのカメラをビデオ会議に活用できるのはもちろん、広角カメラと超広角カメラを活用し、ユーザーの顔とデスクを同時に映し出す「デスクビュー」など、通常のWebカメラでは実現できない機能も実現するという。
iPhoneは画面は小さいがカメラ性能が高いなど、それぞれのデバイスには用途に応じたメリット、デメリットが備わっている。これまでは機能やアプリにも違いがあったため、用途に応じてデバイスを使い分ける必要があった。しかし、それらの統一化が進み、どのデバイスでもシームレスに同じ機能やアプリが使えるようになると、連携カメラのような、使っていないデバイスのメリットを今使っているデバイスで生かす取り組みが加速するのではないだろうか。
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