欧州、スマホなどが対象の“USB Type-C統一法”を2024年秋施行へ
EUの欧州議会は、「USB Type-C」(USB-C)を圏内のすべてのスマートフォンやカメラの共通充電ポートにすることを義務付ける規則を2024年秋までに施行する。推進した議員は会見で「Appleは2年後も圏内で製品を販売したいなら従う必要がある」と語った。
欧州連合(EU)の立法議会である欧州議会は6月7日(現地時間)、「USB Type-C」(USB-C)をEU圏内のすべてのスマートフォン、タブレット、カメラの共通の充電ポートにすることを義務付ける無線機器指令を2024年秋までに施行すると発表した。施行にはこの後、欧州議会とEU理事会による承認が必要だが、承認はほぼ確実とみられる。
この法令は「EU圏内の製品をより持続可能にし、電子廃棄物を削減し、消費者の生活を助けるためのより広範なEUの取り組みの1つ」としている。
この法案は10年以上にわたって策定されてきたもので、昨年9月に欧州委員会が法案を提出した。
新しい規則の下では、消費者は新しいデバイスを購入するたびに異なる充電デバイスとケーブルを必要とせず、すべてのポータブル電子デバイス(スマートフォン、タブレット、eリーダー、イヤフォン、デジタルカメラ、ヘッドホン、ヘッドセット、ハンドヘルドビデオゲームコンソール、有線ケーブルで充電可能なポータブルスピーカー)を同じ1つの充電器で充電できるようになる。そのためにEU圏内でこれらの製品を販売するメーカーは、USB Type-Cポートを装備する必要がある。
ノートPCも、施行後40カ月までに要件に適合させる必要がある。
すべてのデバイスを同じ充電器で充電できるようにするために、急速充電をサポートする充電速度も調整される。
欧州議会は発表文で、この法令により、消費者が不要な充電器の購入で費やしている年間最大2億5000万ユーロを節約できると語った。これまでに廃棄された未使用の充電器は推定で年間約1万1000トンに上るとしている。
スマートフォンでのUSB Type-Cの採用は、Android端末ではほぼ100%だが、Appleは最新の「iPhone 13」シリーズでもLightningを採用している。
発表後の記者会見でEUがAppleを標的にしているのかどうか尋ねられた欧州委員会のティエリー・ブルトン委員は「規則はすべての人が対象であり、特定の人を対象とするものではない。われわれは企業ではなく消費者のために働いている」と答えた。
欧州議会でこの法案を推進してきたアレックス・アギウス・サリバ議員は「Appleは2年後、自社製品をEU圏内で販売したいなら、この規則を順守し、デバイスをUSB-C対応にしなければならない」と付け加えた。
Appleは昨年9月、この法案について「1種類のコネクタのみを義務付ける厳格な規制はイノベーションを抑制し、欧州や世界中の消費者に害を及ぼすことを懸念している」という声明文を出した。
TF International Securitiesのアナリスト、ミン=チー・クオ氏は2023年第2四半期に発売されるiPhoneは、Lightningポートではなく、USB Type-Cポートを採用すると予測した。
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