手書きスケッチをきれいな3D図面に自動変換するシステム 英国やフランスなどの研究チームが開発:Innovative Tech
英University College London 、フランスの研究機関Inria、Microsoft Research Asia、Adobe Researchによる研究チームは、フリーハンドで描いた形状をCAD(Computer-Aided-Design)コマンドに自動変換するスケッチベースのモデリングシステムを開発した。
Innovative Tech:
このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。
英University College London 、フランスの研究機関Inria、Microsoft Research Asia、Adobe Researchによる研究チームが開発した「Free2CAD: Parsing Freehand Drawings into CAD Commands」は、フリーハンドで描いた形状をCAD(Computer-Aided-Design)コマンドに自動変換するスケッチベースのモデリングシステムだ。CAD経験がない初心者でも容易に3Dオブジェクトを構築できる。
CADは、3次元形状を作成するための業界標準であるが、その固有の複雑さゆえに初心者には難しく、ある程度の専門知識を要していなければならない。そこで今回は、初心者でもきれいな仕上がりになる手書きスケッチに基づくモデリングシステム「Free2CAD」を提案する。
Free2CADでは、ユーザーが形状をスケッチするだけで、そのストロークをシステムが解析し、簡略化されたCAD言語で表現されたコマンドのシーケンスに自動変換してくれる。これらのコマンドを実行すると、フリーハンドで描いたスケッチが整列した状態で3Dオブジェクトとして再現される。
出来上がった3Dオブジェクトに対して、その上からフリーハンドで描くこともでき、穴を開けたり突起を付け加えたりと絵を描くように改良が行える。
この手法は、ペンストロークのシーケンスを入力として、個々のCAD操作に対応するストロークのグループ化という新しいタスクを導入する。このグループ化タスクはTransformerによって学習される。加えて、操作パラメータの幾何学的フィッティングを組み合わせることで、このアプローチを実現する。
研究チームは、ユーザーが描いたスケッチと、一般に公開されているCADシーケンスから生成された図面を比較し、システムを評価した。その結果、CADモデリングの経験を持たないユーザーでも、システムを用いて有用なCADシーケンスを作成できること、ユーザーごとに異なる戦略でこの描画タスクにアプローチできることを示した。
Source and Image Credits: Changjian Li, Hao Pan, Adrien Bousseau, and Niloy J. Mitra. “Free2CAD: Parsing Freehand Drawings into CAD Commands”
関連記事
- 文章から“動画”を自動作成するAI、中国の研究チームが開発
中国の清華大学の研究チームは、簡単なテキストを入力に、その文章を基にした簡単な動画を自動作成する機械学習モデルを開発した。 - 音声入力時の感情に合わせて吹き出しを自動作成 興奮時なら“爆発型”など、東大が開発
東京大学の研究チームは、吹き出しを用いたテキストチャットにおける感情コミュニケーションを支援するシステムを開発した。音声でテキスト入力する際の感情を読み取り自動で吹き出しを生成する。 - 「マジック:ザ・ギャザリング」風のカードを自動生成できるAI 好きな言葉をカード名に入れるだけ
自然言語処理モデル「Cohere」などを開発する、カナダのCohere社はトレーディングカードゲーム「マジック:ザ・ギャザリング」(MTG)風のカードを自動生成できるAI「Urzas.ai」を作成した。 - スピーチに応じた“ろくろ回しポーズ”を自動生成、映像に反映 中国などの研究チームが技術開発
中国科学技術大学とJD AI Researchの研究チームは、発話に応じた上半身の動作を自動で生成するモデルを開発した。単調な動きだけを繰り返すのではなく、韻律(抑揚、音調、強勢、音長など)を考慮した自然な動作を生成する。 - テキストから御朱印を自動生成するシステム、筑波大が開発 寺社1000カ所以上から御朱印収集、データ化
筑波大学落合研究室の研究チームは、テキストから御朱印を自動生成する学習ベースのシステムを開発。訓練用のデータセットは、寺社1000カ所以上を訪問し取得した御朱印を基に大規模にデータ化した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.