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コラム

「WWDC22」から見えたAppleの狙い “ゲームとクルマ”の攻略は実現するか(2/4 ページ)

アップルの開発者会議「WWDC22」が開催中だ。WWDCとしては3年ぶりに「リアルでの開催」とオンライン開催をセットにしたイベントになったが、色々と示唆にも富んでいた。基調講演と、その後に得られた情報を加味し、今回のアップルの発表を分析してみよう。

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売れるMacBook Airをてこに「ゲーム」需要を引き寄せられるか

 では、そうした「よりパワフルなマス向けハード」で何をアピールしたいのか? それは「マス向けの製品でも、消費電力が低くて速い」ということに他ならない。

 単純な速度で言えば、CPUでもGPUでも、Appleシリコンより速いものはある。だがそれでもMacが動く際には、性能の割に消費電力が低い=発熱も低くより快適な状態が維持されるのは間違いない。

 そして価格レンジも、(日本では為替の関係で高くなったとはいえ)劇的に高いとわけではない。入手しやすい製品のパフォーマンスが高いということは、大きな差別化になる。

 その辺に関わるのが「ゲーム」に関するアピールだろう。


アップルは「M1」「M2」搭載マシンでのゲームを訴求

 実のところ、GPU性能が上がってはいるものの、MacやiPadで規模の大きな「AAAクラスゲーム」が出ることはまれだ。スマートフォンやタブレット向けのものはともかく、ゲーム機やゲーミングPCと競合する状況にはない。

 アップルとしては、MacBook Airのような製品でも高価なゲーミングPCと競合できる状況になることを望んでおり、そのために開発者を惹きつけたい、と思っているのは間違いない。

 Mac/iPadはGPUのAPIとして「Metal」を使っており、これがPCやゲーム機とは異なる部分である。だが、開発そのものが難しいわけではないし、UnityやUnreal Engineのようなゲーミングエンジンを介して開発するなら、もっと差異は小さくなる。

 要は市場性の問題であり、「MacやiPadはコアゲーミングにも向く」という認識が広がっていないことが課題なのだろう。実際筆者も「Appleシリコン搭載Macほどの性能と静粛性のある製品でゲームができれば」と思うことはあるが、現実問題として、スマホゲーム以外を開発する視線はMac/iPadの方を向いていない。

 だからこそ、今回はスケーリング/フレームレート向上用の機能である「MetalFX Upscaling」をアピールし、MacとiPadにヒットゲーム「No Man's Sky」が、Macに「バイオハザード ヴィレッジ」が登場することを告知したりした……ということなのだろう。


「MetalFX Upscaling」で開発負荷を減らしてゲームの画質・体験向上を狙う

MacとiPadにヒットゲーム「No Man's Sky」が登場

Macに「バイオハザード ヴィレッジ」が移植されることになった

 M2版MacBook Airが出るのも、「大ヒットしているMacは、こんなにゲームに向いた性能を持っている」という主張と無関係ではない。

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