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「WWDC22」から見えたAppleの狙い “ゲームとクルマ”の攻略は実現するか(3/4 ページ)

アップルの開発者会議「WWDC22」が開催中だ。WWDCとしては3年ぶりに「リアルでの開催」とオンライン開催をセットにしたイベントになったが、色々と示唆にも富んでいた。基調講演と、その後に得られた情報を加味し、今回のアップルの発表を分析してみよう。

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2年前から伏線、M1搭載iPadのさらなる「変化」

 もう1つ気になったのは、MacとiPadがさらに近づいてきたことだろうか。

 「iPadOS 16」に「ステージマネージャ」が搭載され、アプリウインドウのリサイズや重ね合わせなどがサポートされていくのも、M1搭載iPadが「クリエイティブツール」としてアピールされていることと無縁ではない。


新たに「ステージマネージャ」という機能が導入される。

iPad上でも「リサイズしつつウインドウを重ねて作業」を実現。ディスプレイをつないでの「2画面作業」も

 この辺の変化は急に出てきた話に思えるが、冷静に考えると確実に「順番通り」の機能追加であることもわかる。

 2020年、Appleシリコン版macOSが登場したとき、「iPhoneやiPadのアプリがそのまま使える」こともメリットの1つだった。

 この際、MacでiPad用アプリを快適に使うために、「アプリのウインドウサイズ変更やアプリ同士のオーバーラップ」を想定したAPIが整備されており、すでに「iPad用アプリをマルチウインドウで使う」ことができるアプリは開発されていたのである。

 iPadOS 16でステージマネージャを使う場合にも、結局はその時に整備したAPIなどがそのまま使われている。だから「アプリを作り直さなくてもステージマネージャがフルに使える」アプリは、すでに結構な数あるのだ。

 同様にマルチタスク性能向上として、フラッシュメモリーをメインメモリー代わりに使う、いわゆる「仮想メモリ」をiPadOSがサポートしたことも大きいはずだ。ゲームを含め、規模が大きく常に動き続けることを前提としたアプリを使いつつ、他のアプリも同時に使うには、仮想メモリの存在は欠かせない。さらに言えば、バックグラウンドダウンロードなどの機能も向上しているようである。

 だから、「編集したビデオを書き出しつつ、別の映像を見て次の編集作業手順をチェック」といった使いかたをするには、iPadOS 16は待望のOSになりそうである。

 ただ、これらの新要素は「M1」プロセッサーを使ったiPadだけに限られる。

 今後、Aシリーズ搭載で「価格が安く入手しやすいiPad」と、Mシリーズ搭載で「高めのiPad」とでは、位置付けが変わってくる可能性も高い。

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