セクハラ報道のピクシブ、社内での多様性教育を強化へ ユーザーの反応は冷淡 関心は加害者の処分に
社員へのセクハラ報道を巡り、ピクシブが今後の改善策を発表した。「外部専門家を交え、経営によるダイバーシティ・インクルージョンの理解と促進」などに取り組むという。しかし、同社の対応に対するユーザーの反応は冷たい。
ピクシブは6月16日、社員へのセクハラ報道を巡り、今後の改善策を発表した。「外部専門家を交え、経営によるダイバーシティー・インクルージョンの理解と促進」(同社)などに取り組むという。しかし、同社の対応に対するTwitterの反応は冷たい。イラスト投稿サービス「pixiv」などのユーザーからは、加害者の処分を求める声も出ている。
ピクシブは今後、経営層向けの取り組みに加え、社内マニュアルの定期的な改訂や、教育体制の強化・見直し、再発防止策の策定などを進める方針だ。ハラスメント防止に関する施策を取りまとめ、社外に公開する方針も示している。
発表した文面の中では、被害者の社員に改めて謝罪。「ハラスメントに関して、企業としてあるべき防止策を講じていた。しかし、今回の事態を受けて、被害者に対する心情理解や対応が不十分であったと受け止めるべきと考えている」(ピクシブ)などとしている。
ただ、この声明に対するTwitterの声は冷淡だ。pixivなどのユーザーからは「結局、ハラスメントをした人物はどうなったの?」「マイノリティーうんぬんより、加害者をしっかり処罰する姿勢の方が大事な気がする」などの反応が出ている。
騒動の発端となった弁護士ドットコムニュースの報道によれば、ピクシブでは当時の男性役員が女性社員やトランスジェンダーの社員にセクハラをしていたという。男性はこのうち、トランスジェンダーの社員に一度は謝罪したものの、その後もセクハラを継続。
耐えかねたトランスジェンダーの社員が弁護士に相談したところ、ピクシブは男性を役員職から解任。トランスジェンダーの社員と男性を同じ事業部に配置しないなどの措置を約束したという。
しかしこの措置は徹底されず、トランスジェンダーの社員は精神的損害を受けたとして休職。男性への慰謝料請求を求めるも、交渉が不調なことから、慰謝料555万円を求め、男性とピクシブを提訴する方針を示したという。
報道を受け、当時Twitterではピクシブに批判が集中。中には「さすがに胸糞過ぎた」などとして、pixivで公開しているイラストや小説などを非公開化・削除したり、ピクシブに抗議のメッセージを送ると表明したりするクリエイターもいた。
16日の発表に対するTwitterの反応も、こういったユーザー動向の影響があるとみられる。加害者である男性への対応の情報が少なく、一部ユーザーの反感を招いているようだ。
「失った信用は簡単に取り戻せるものではないと受け止めている。人権尊重とダイバーシティー&インクルージョンの考え方を基本として、性の多様性を含むさまざまな多様性があることを前提にした組織づくりを目指す」(ピクシブ)
関連記事
- 「神絵師のイラスト消えてて絶望」 セクハラ騒動で揺れるpixivユーザー アカウント削除で抗議の意思示すクリエイターも
ピクシブのセクハラ報道を受け、イラスト投稿サービス「pixiv」のユーザー間に波紋が広がっている。ピクシブに抗議のメッセージを送ったり、作品の削除を検討したりするクリエイターも出ている。一般ユーザー間では、クリエイターの対応に対して議論が広がっている。 - ピクシブ、「ハラスメントは事実」と声明 「万人に対して許されない行為」
ピクシブは、同社にハラスメントに関する提訴が行われるという報道について、同社従業員によるハラスメント行為があったことと、当該従業員を懲戒処分したことは事実であると発表した。 - pixiv、小説の本文検索を廃止へ 文字数が700億超えでサーバに負荷
ピクシブが、小説やイラストの投稿サービス「pixiv」で、小説の本文に含まれるワードから作品を検索できる機能を終了すると発表した。投稿作品の文字数が計700億文字を超えていることから、検索によってサーバに負荷がかかっていたという。 - ピクシブ、「過去作が多いユーザーほどアカウント停止されやすかった」と認め、謝罪 「直近で修正基準に変更はない」
ピクシブは、イラスト・小説投稿サービス「pixiv」上で、過去に作品を多く投稿していたユーザーほど、アカウントが停止されやすい状況になっていたと認め、謝罪した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.