au通信障害で「公衆電話」に注目集まる 初めて使う人増えTwitterには“使い方指南”も
7月2日から発生していたauの通信障害だが、4日16時ごろにKDDIが「ほぼ復旧」とアナウンスを出した。障害発生から62時間経過という、KDDI史上最大規模の通信障害に発展したが、そんな中、注目を集めたのが公衆電話だ。
7月2日から発生していたauの通信障害だが、4日16時ごろにKDDIが「ほぼ復旧」とアナウンスを出した。障害発生から62時間経過という、KDDI史上最大規模の通信障害に発展したが、そんな中、注目を集めたのが公衆電話だ。
Twitter上では、通信障害で音声回線が使えなくなったユーザーが代替手段として公衆電話を使い始めたことで、7月2日から「久しぶりに公衆電話を使った」との投稿が相次いだ。警視庁によると、先週末時点で110番への通報が1割減少した代わりに、公衆電話からの通報が増加したと朝日新聞が報じており、公衆電話が通信障害の代替インフラとして機能した証ともいえる。
30〜40代以上にとって公衆電話はなじみの深い存在だが、10〜20代のZ世代はそうでもない。ITツールの比較サイト「STRATE」を運営するSheepdogが全国15〜24歳の男女300人を対象に実施した調査によると、全体の29%が「公衆電話を使ったことがない」と回答した他、11%が「そもそも見たことがない」と回答。さらに年代別に分けると、公衆電話を使ったことがないユーザーは10代後半で35.3%、20代前半は25.8%と、若いほど公衆電話から縁遠い傾向が見て取れる。
こうした「使ったことがない」ユーザーが増えたためか、Twitter上では公衆電話の使い方を指南するツイートも拡散された。本来であれば、受話器を上げた後に10円などの硬貨を投入し、相手先の電話番号を掛けるのだが、受話器を上げる前に硬貨を投入する人が続出。「まず、受話器を取れ!!金はそれからだ」といったツイートも広く拡散された。おそらく、スマートフォンが電話番号を入力したあとに発信ボタンを押すUI設計のため、それに倣うユーザーが多かったと思われる。
公衆電話の料金は固定電話の場合、距離に応じて変動し、区域内なら10円で56秒だが、通話先が20kmになると26秒、30kmだと21.5秒と長距離になるほど通話時間が短くなっていく。携帯電話への通話は、10円で15.5秒と更に短い。このため、長時間通話するために「公衆電話に10円玉をたくさん置いて電話するというトレンディドラマ的なことをやった」といったツイートの他、100円はお釣りが出ないことを注意喚起するツイートなども広まった。
久しぶりに注目が集まった公衆電話だが、携帯電話の普及で撤去が進んでおり、法令で設置が義務付けられている第一種公衆電話の台数は、2019年時点でNTT東西合計で10万9000台、任意で設置する第二種公衆電話との合計で15万1000台とされている。しかし、公衆電話事業は赤字が続いており、2022年4月1日の電気通信事業法施行規則の見直しにより、第一種公衆電話の設置台数を含め今後減少する予定とされている。
一方で、今回の通信障害以外に、地震などの大規模災害でも公衆電話が活躍した実績もあり、通信インフラ最後の砦として「減らしてほしくない」という声も複数見られた。
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