ニュース
食べ物の味と見た目を変える装置、明大が開発 「牛乳→カニクリームコロッケ」などに変身 「エリンギ→毒キノコ」も
明治大学は、飲食物の味と見た目を変える装置「TTTV2」を開発したと発表した。研究チームではこの装置を使い、牛乳をカニクリームコロッケの味に変えることに成功したとしている。
明治大学は7月8日、食べ物の味と見た目を変える装置「TTTV2」を開発したと発表した。甘味や酸味、塩味、苦味、うま味などの基本五味や辛味などを感じさせる液体を混ぜ、食べ物に噴霧することで、その味を変えるという。研究チームでは牛乳をカニクリームコロッケの味に変えることに成功したとしている。
装置ではまず、元の飲食物(A)と、目標の飲食物(B)の味の差(B-A)を味覚センサーで算出する。この差を埋める味溶液を作り、Aに混合噴霧することでBに味を近づける仕組み。食べ物の見た目も、食べられるインク「可食インク」で印刷することで目標の飲食物に近づけるという。
牛乳の味をカニクリームコロッケに変える際は、カニクリームコロッケを粉砕し、その味を測定。牛乳の味との差を埋める味溶液を作り、牛乳に混合噴霧した。この牛乳は味と見た目以外にも、魚介類・甲殻類の香りを再現しているという。また、アレルゲン物質を含まないため甲殻アレルギーの人でも食べることができるとしている。
TTTV2では他にも、白おにぎりを梅干しおにぎりに変えることや、白米をちらしずしに変えること、極端な例ではエリンギを毒キノコ(ベニテングダケ)と同じ味と見た目にして安全に味わうことも可能。今後は、家庭料理をプロの味付けにすることなどができるよう、家庭の台所に設置される「調味家電」として社会実装を目指す。
関連記事
- 減塩食を“しょっぱく”感じる箸型デバイス、明大とキリンが開発 電気で味覚を操作
明治大学とキリンホールディングスは、減塩食品の味わいを増強させる箸型デバイスを開発した。減塩食を食べたときに感じる塩味が1.5倍程度に増強されることを世界で初めて確認したという。 - 味をデジタル化する「電気味覚」の可能性(前編) 「味をSNSへ投稿する」を実現するための研究
味をデジタル化を実現するために、世界中の研究室で研究が進んでおり、その基盤になるのが味のデジタル化において重要な要素である「電気味覚」という現象だ。一体どのような現象なのか。解説する。 - 味をデジタル化する「電気味覚」の可能性(後編) 塩分制御システムやガム型デバイスなどの研究成果
味をデジタル化を実現するために、世界中の研究室で研究が進む「電気味覚」。これを利用し、塩分制御システムやガム型デバイスなど、世界中の研究室はさまざまな研究成果を発表している。 - 料理の味を再現するディスプレイ 味見してみた 「視覚・聴覚が送れるなら味覚もできるはず」
明治大学の宮下芳明教授が「DCEXPO 2021」で、ディスプレイに映った料理の味を再現して出力できる「Taste The TV」を出展した。「テレビから映像や音声が出るのと同じように、味も出力したい」との思いから個人開発したという。 - 食べずに「のどごし」を体感できる装置、電通大が開発 バーチャル環境で飲食を再現
電気通信大学の研究チームは、喉の皮膚を引っ張る方法で、食べ物を飲み込んだ感覚を再現する嚥下感提示装置を開発した。何も食べてないにもかかわらず、「のどごし」を提示できるという。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.