Twitter、イーロン・マスク氏を提訴 買収契約の「責任を負わせるための訴訟」
Twitterは予告通りイーロン・マスク氏を提訴した。マスク氏が約440億ドルでの同社買収の契約を取りやめようとしているのは契約違反だとしている。
米Twitterは7月12日(現地時間)、イーロン・マスク氏を米デラウェア州衡平法裁判所に提訴した。同氏は4月にTwitterを約440億ドルで買収することで合意したが、7月8日に取引を打ち切ると一方的に通知した。
Twitterの取締役会長を務めるブレット・テイラー氏は「Twitterは、デラウェア州衡平法裁判所に、イーロン・マスク氏に契約上の義務の責任を負わせるための訴訟を起こした」とツイートした。
マスク氏は取引を取りやめる理由として、Twitterがスパムアカウントの正確な比率を開示せず、それを割り出すためのデータの提供を拒否したことだと主張した。また、マスク氏に無断で複数の幹部を解雇したことも契約違反だとしている。
だが、マスク氏が署名した買収契約には、マスク氏が買収のために調達した債務が存在する限り、取引を完了するために提訴できるという履行条項が含まれている。
Twitterは訴状に「マスク氏は、買収取引がもはや同氏の個人的な利益に役立たないため、Twitterとその株主に対する義務を尊重することを拒否している。(中略)マスク氏は、デラウェア州の契約法の対象となるすべての当事者とは異なり、勝手に意向を翻し、企業をゴミ箱に捨て、事業を混乱させ、株主価値を崩壊させて立ち去ることができると信じているようだ」と記した。
Twitterは裁判所に対し、被告(マスク氏)に買収契約に基づく義務を具体的に履行し、契約条項に従って完了させるよう命じることを求めた。
米New York Timesが独自に入手したというTwitter内部メモによると、同社は9月に4日間の開廷を求めているという。
本稿執筆現在、マスク氏からの公式声明などは出ていないが、「わ、皮肉だね(爆笑)」とツイートした。
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