機能的価値と情緒的価値のせめぎ合い
そもそも、クルマという商品に人々が見いだす価値は、十人十色、千差万別です。ある意味、機能的価値と情緒的価値がそのなかでせめぎ合っている商品といえましょう。クルマを単なる移動手段として捉えれば、満充電で3〜400km程度しか走らず、遠出すればエネルギー補充に時間を要するEVは、既存の内燃機関のクルマと比較して相対的に不完全な商品といえるでしょう。
しかし、世の中のクルマを機能的価値だけで判断してしまうと、フェラーリやランボルギーニのようなクルマは存在しえなくなってしまいます。そのようなハイブランドカーにおいては、移動手段としての価値は相対的に小さく、デザイン、希少性、秘めたるポテンシャル、ステイタスといった情緒的価値が大部分を占め、お金持ちはその価値に対しン千万円というお金を投下し、自己の所有物とします。
もちろん、前述のようなハイブランドカーでなくても、情緒的価値を備えたクルマはたくさんあります。ただ、価格や性能に応じて、機能的価値と情緒的価値の分水嶺の位置というか、それぞれの重み付けが変化します。乱暴な言い方をすると、商品としての価格が上昇するにしたがい情緒的価値の重みが増すのかもしれません。
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