ペロシ米下院議長訪台で総統府や国防部のネットがDDoS攻撃でダウン 乗っ取られたコンビニのサイネージには「戦争屋、台湾から出て行け」
ペロシ米下院議長の訪台中、台湾総統府や国防部にDDoS攻撃があり、一時ダウンした。コンビニや駅のデジタルサイネージにはペロシ氏を批判するメッセージが表示され、当局はハッキングによるものだと発表した。
ナンシー・ペロシ米下院議長による台湾訪問の8月2日から4日(現地時間)にかけて、台湾総統府や国防部の公式サイトにDDoS攻撃があり、コンビニや駅ののサイネージシステムが乗っ取られて不適切なメッセージが表示された。
台湾総統府の広報担当社、チャン・トゥンハン氏は2日、官邸の公式Facebookアカウントで、「2日の午後5時15分ごろ、総統の公式サイトが海外のDDoS攻撃に遭い、トラフィックが通常の200倍以上になった。一時的に公式サイトが表示できなくなったが、20分以内に再開した」と投稿した。
国防部は4日、3日午後11時40分からDDoS攻撃を受け、約1時間にわたってサービスが中断したと発表した。
国防部は、全体的な情報セキュリティを維持するため、広範な政府機関と情報セキュリティ共同防衛を実施していると強調した。
台湾の国営通信社である中央通訊社(CNA)は3日、台湾中の複数のコンビニエンスストアや駅のデジタルサイネージがハッキングされたと報じた。デジタルサイネージには、「戦争屋ペロシ、台湾から出て行け」「老いた魔女、ペロシ」などと表示されていた。
台湾の通信監督行政機構である国家通訊伝播委員会によると、こうしたメッセージを表示した企業のデジタルサイネージシステムで、中国製のソフトウェアを使っているという。委員会は、このソフトウェアにはバックドアやトロイの木馬が潜んでいる可能性があり、サイバー攻撃に脆弱だと語った。
ペロシ氏の台湾訪問については、計画が発表された7月下旬から、中国政府は強く非難し、中止するよう警告してきた。
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