Amazon、FTCの民事調査請求に制限要請──「嫌がらせ以外に役立たない」
Amazonは米連邦取引委員会が実施中の同社の調査に関し、一部の民事調査請求(CID)の無効あるいは制限を要請した。ベゾス会長やジャシーCEOへの証言要求は「実行不可能かつ不公平」としている。
米Amazon.comは、米連邦取引委員会(FTC)が実施中の同社のプライムサービスに関する調査について、一部を無効あるいは制限するよう要請した。FTCが公開した8月5日付の文書で明らかになった。
問題になっている調査は、Amazonのプライムサービスへの参加と脱会の方法が誤解を招くのではないかという懸念に関するもので、2021年4月に始まった。その一環で、ジェフ・ベゾス会長、アンディ・ジャシーCEO他数十人の幹部に対して2022年6月に新たなCID(民事調査請求)が発行された。
Amazonは文書で、「2022年6月のCIDは実行不可能かつ不公平だ。(中略)完全かつ正確な証言を提供する立場にない幹部に5週間にわたって複数の複雑な尋問への回答と正確な証言を要求している」とし、ベゾス氏とジャシー氏に「独自の知識を持たないトピックについて」証言を要求することは「非常に不合理であり、過度に負担が大きく、Amazon上層部に嫌がらせをする以外の目的には役立たない」と主張する。
とはいえ、FTCの調査に引き続き協力し、必要な情報を提供することに取り組んでいくとしている。FTCが6月のCIDを無効にしない場合は、情報の提出期限を9月15日まで延長するよう要求している。
Amazonは昨年7月、Amazonが関わる独禁法関連の調査や訴訟などからのリナ・カーン委員長の忌避を申し立てたが、この申し立てに対する回答はいまだない。
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