使って分かった新型「AirPods Pro」のスゴさ 見た目は一緒でも“大幅進化”した中身に迫る(3/4 ページ)
世界で最も売れている完全ワイヤレスイヤフォン「AirPods」の上位モデル「AirPods Pro」に新型が登場した。すでに完成度が高い製品で「これ以上、第2世代で何を進化させるのか?」と思っていたら、そこには、さらなる驚きの進化が待っていた。
低音の迫力が増し、空間オーディオ効果も増強
音質はアップルのイヤフォンらしいニュートラルなもの。新設計された11mmのドライバーは低音の再現に力を入れている。パーソナライズされた空間オーディオの効果で、音の定位の分離が著しく、目を閉じると、どこで音が鳴っているのかはっきり分かることもあって、ベースやドラムなどの音が、他の音と分離して聞こえるし強調されている。
空間オーディオのパーソナライズ(耳の位置や形状をFace IDで使うTrueDepthのセンサーを使って計測する)を行ってから聞くと、空間オーディオの効果はより歴然で、音の方向だけでなく、距離も感じられるようになる。この音のツブツブの距離感をはっきりと感じられるようになったのが、初代AirPods Proとの大きな違いで、顔の目前で囁くようなボーカルの音が聞こえ、その背後にドラムの音が広がり、ギターの音が駆け抜けるのがよく分かる。
その効果は、空間オーディオに対応した映画を見るとより歴然で、飛んできた弾丸が背後の壁に当たる音や、爆発音が取り囲むように響く戦闘シーンなどの臨場感は驚くほど。
空間オーディオはAirPods Proに内蔵されたジャイロセンサーを使っており、右側から聞こえてくる音は、頭を動かしても右側から聞こえる。つまり、映画のシーンで右側から話しかけられて、顔を右側に向けると音は正面から聞こえてくる。つまり、AirPods Proをしたまま音の空間に入ったような効果があるのだ。
ちなみに、空間オーディオ対応の音楽を聞きながら歩いていて、街角を曲がると面白いことが起こる。例えば、正面から音が聞こえている状態で、角を左に曲がると、音は右耳方向から聞こえる状態になる。そのまま、数秒歩くと、どこかで「スルッ」と音は正面に回り込む。「向きが変わってこちらが正面になったのだ」と認識するのだろう。
ともあれ、この空間オーディオの効果で、音の分離が明確で、まるで音に包み込まれているような感覚、実際に演奏されいてる場所にいるような感覚を味わうことができるのだ。
耳に優しいアップル流のノイズキャンセリング
Appleのサイトには「ノイズキャンセリング性能2倍」とうたわれている。何をモノサシとして2倍と表現しているのかは定かではないが(dBの問題ではないらしい)、確かに2倍と言いたくなるほどノイズキャンセリング性能は向上している。
ノイズキャンセリングの効き方にもいろいろあって、AirPods Proのノイズキャンセリングは、全ての音が聞こえなくなるのではなく、耳障りな音を取り除く感じで、まったく静かになってしまうわけではない。
例えば、雑踏の音でも、耳に障る工事の音や、ブレーキのキーキーいう音が取り除かれて、不快でないバックグラウンドノイズだけが残るという感じ。試しにスピーカーから飛行機の機内の音(YouTubeにある)を鳴らしてノイズキャンセリング効果をオンにしてみたが、かなり快適になる。
驚くのが、「外部音取り込み」機能をオンにした時だ。AirPods Proを耳に入れているのに、まったく耳をふさがれている感じがしない。AirPods Proが透明な存在になったかのように外の音が聞こえるのだ。
AirPods Proの外部音取り込みは、構造的には一応耳を塞いでいて(圧力を抜く為の穴はある)、耳の中に設けられたマイクからのフィードバックを受けながら、外部の音をドライバーで再現する仕組み。その仕組みで、外とまったく同じ音を作れるのがすごい。そして、85dB以上の耳に負担をかける音はフィルタリングしてくれる。もはや、何も装着していない状態より、第2世代AirPods Proを装着した耳の方が機能として優れているという状態。
これがこのまま進化していけば、人の話声だけ強調したり、ブザーや呼び鈴などの警告音だけ聞こえるようにしたりと、“スマート耳”へとAirPods Proは進化していくのではないだろうか?
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