ここ数年におけるワークステーションの進化は目を見張るものがある。CPUの性能が向上すると共に、GPUやメモリも大きく高性能化しており、システム全体を見てもその変化は大きいといえる。こうした流れに敏感になっているエンジニアも多いだろう。性能アップは機械工学におけるシミュレーション効率の向上に寄与するからだ。
シミュレーション効率がなぜ重要なのか、それは生産される製品の品質に直結するからだ。効率が上がるとワークフロー全体の改善を実現できる他、品質や安全性、信頼性、製造のしやすさが向上し、より良い製品を生み出せるようになる。このあたりは現実問題として肌で感じている人も多いだろう。
ではシミュレーション効率を向上させるために、どういった視点でワークステーションを選んでいくべきなのか。それにはまずCPUの性能が重要となるだろう。とはいえGPU、メインメモリ、ストレージもおろそかにはできない。そして動作させるアプリケーションとの親和性が高いということもポイントとなる。
構造解析で力を発揮する日本HPのワークステーション
構造計算に使われる有限要素法ソフトウェアの代表として「SIMULIA/Abaqus」(以下、Abaqus)がある。Abaqusは汎用(はんよう)FEM解析ソフトウェアとして知名度が高く、接触問題や大変形など、あらゆる線形・非線形の解析に対応している。このため自動車や航空、防衛、化学、家電など、さまざまな産業で使われており、モデリングから一般的な静解析、周波数応答、非線形解析だけでなく、陽解法による衝突や圧延などの高度な解析にも利用されている。
一方、3次元CADとして有名なのが「SOLIDWORKS」だ。1995年のリリース以来、バージョンアップする度に進化しており、その使い勝手だけでなく、性能も向上しているのはご存じの通り。SOLIDWORKSは設計のあらゆるシーンに対応しており、初期段階での構想設計だけでなく、仕様を満たしているのかを検証する際にも同一環境で作業できる。また初期段階に設計した内容を元に構造解析できるため、最適な設計を短期間で仕上げられる。
そして、日本HPが発売しているワークステーション「HP Z2 Tower G9 Workstation」(以下、Z2 Tower G9)はカスタマイズに対応。CPUにインテルの第12世代インテルCoreプロセッサー、Core i9-12900Kを搭載可能で、GPUはNVIDIAのRTX A5000までを選べる。メインメモリは最大128GBを搭載できる他、ストレージも2TB HP Z Turboドライブ G2×2を利用したRAID 1構成も作り上げられる。ミドルタワーの小型筐体に、これだけの性能を持たせることが可能だ。また先ほど挙げたAbaqusとSOLIDWORKSにも対応している。
なおZ2 Tower G9に採用されている第12世代インテルCoreプロセッサーは、性能を重視した「パフォーマンスコア」(Pコア)と効率を重視した「エフィシェントコア」(Eコア)の2つに分かれて構成されているのが特徴だ。例えばCore i9-12900KはPコアが8コア、Eコアが8コアの計16コアあり、Pコアは3.6〜4.9GHz、Eコアが2.7〜3.8GHzで動作する。これらのコアが効果的に利用されることで、性能を発揮するように作られている。
ワークステーションの進化をベンチマークテストで探る
ではここで、最新モデルであるZ2 Tower G9と、前モデルの「Z8 G4 Workstation」(以下、Z8 G4)の性能を比較してみよう。比較したシステムは以下の通りだ。
項目 | Z8 G4 | Z2 Tower G9 |
---|---|---|
CPU | Xeon Gold 6246R×2 CPU(3.4〜4.1GHz, 35.75MB Cache, 16core) | Core i9-12900K(2.4〜5.1GHz, 30MB Cache, 8+8core) |
MPI種類 | Microsoft MPI | Microsoft MPI |
並列数のパターン(CPUコア数) | 2/4/8/12/16/24/32 | 2/4/8/12/16 |
まずはAbaqus 2022で作成した以下に示すベンチマークモデルを6タイプにおいて実行した。
これらのモデルについてベンチマークテストを実施したところ、8並列まではCore i9-12900KのPコアが8コア分動作しているため、Z8 G4よりも高い性能が出ていた。ただし8並列を超えるとCore i9-12900KがEコアを利用するため性能の伸びが鈍化し、Z8 G4に逆転されるという結果だった。
またSOLIDWORKS Simulationにより構造解析における性能比較を行った。今回はCore i7-12700Kを搭載するZ2 Tower G9もあわせてテストを行っている。その結果が以下のグラフだ。
グラフを見ると分かるが、最新の第12世代インテルCoreプロセッサー、Core i7-12700K搭載のZ2 TowerはZ8 G4に比べて19%速くなっており、Core i9-12900K搭載モデルは26%速いという結果となった。つまり、AbaqusとSOLIDWORKS Simulationの両方とも、Z8 G4に搭載されているCPUは約3年前のアーキテクチャーであるという点を加味してもZ2 Tower G9がフラッグシップモデルであるZ8 G4に引けを取らない高い性能を発揮していることが分かる。10並列前後の用途であれば、コストパフォーマンスが高いCAE用ワークステーションとして活用できるだろう。
日本HPのワークステーションの利点とは
日本HPはかつての「UNIX Workstation」の時代より30年に渡ってワークステーション専用の開発部門を設けている。今ではPC Workstationの時代になっているが、エントリーモデルを含めた全てのラインアップで、グラフィックスや最適化ツール、セキュリティ、熱対策といったワークステーションユーザーにとって最重要課題である安定動作を実現するために設計にこだわり、製品開発をしている。このため2008年より14年連続国内シェアNo.1(※)を更新し続けている。厳しい眼を持つプロフェッショナルが選ぶ機器である証といえるだろう。
(※)2008〜2021年、出典:IDC’s Worldwide Quarterly Workstation Tracker Share by Company, 2022 Q2
また日本HPのワークステーションは、必要不可欠な技術を搭載しつつコンパクトな設計となっており、限られたスペースにおいても設置可能だ。筐体はドライバーなどの工具がなくてもメンテナンスできるようになっており、各種コネクターのレイアウトやスロット/ベイにおける拡張性も考慮するなど、管理者や利用者の作業効率を高める工夫が盛り込まれている。
グラフィックスについてもこだわっている。グラフィックスはワークステーション全体の処理能力を左右するほど重要なキーデバイスだ。CADやCAEといった分野では3D表現に求められる性能は高く、アプリケーションもその能力を発揮するためにパワーが必要だ。日本HPのワークステーションではその性能を十二分に発揮するため、それぞれに最適な性能を持つグラフィックスカードを搭載するだけでなく、最大限に生かすためのドライバを開発し、提供している。
こうした性能を実現するためには、本体をしっかりと冷却するエアフローも不可欠となる。日本HPでは相変化型のCPUクーリング機構を採用しCPUを効果的に冷却、またセンサーと独自のアルゴリズムによりシステムが高温になった際に検知しパフォーマンスを落とすのではなくファンの動作を強化し過熱をふせぐ仕組みを採用。とにかく安定した高いパフォーマンスを求めるワークステーションユーザーの期待に高次元に応えられるマシンとなっている。
一方で静音性も高い。HPのワークステーションは全モデルで最高負荷時でも40dB以下と、図書館や夜の住宅街並みという静音性を実現。作業者が業務に集中できる快適な環境を重視している。
サーバクラスの処理をデスクサイドで実現
ここまで見てきたところで、日本HPのワークステーションの優位点についてはご理解いただけたと思う。日本HPが展開するWebサイト「CAE向けHP Workstation」では、さらに詳しいベンチマークテスト結果などを公開している。
本記事でも紹介したAbaqusやSOLIDWORKSのベンチマークテストの他、「Ansys Fluent」「Cradle CFD」における性能評価資料、CPUとGPUの性能比較も掲載しているので、最適なワークステーションを導入するための助けとなるはずだ。ご興味のある方はぜひともこのページにアクセスして、内容を確認してほしい。
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提供:株式会社日本HP
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia NEWS編集部/掲載内容有効期限:2022年11月15日
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