「テレビはチューナーレスでいい」が増えてきたワケ(3/3 ページ)
チューナーレステレビが人気を集めている。売れている理由は「安い」+「テレビ離れ」で説明が付くと思われがちだが、テレビというディスプレイ装置の使われ方が変わってきたのだと感じる。そのあたりを解説しよう。
安いなりの課題も…
5万円程度で50インチが買えるならと飛びつく前に、安いからには課題もあることも承知しておくべきだろう。実は2020年に、筆者は3万1800円で43インチのTCL製4Kテレビを購入した。引っ越しした際に古いテレビを処分した関係で、リビングに置くテレビを急きょ購入する必要が出てきたからだが、格安テレビの実力がどんなものか、記事のネタになるかと購入したのである。
表示や操作性などには問題はなかったものの、前出のように妻はテレビっ子なので、1日16時間以上テレビを付けっぱなし、寝る時もテレビを見ながらじゃないと寝られない。それぐらいのペースで使っていたら、1年ちょっとで縦に筋が入るようになってしまい、そうこうしているうちに垂直同期が取れないようで映像が曲がるようになってしまった。
修理を依頼すると、すでに1年間の保証期間を過ぎており、ディスプレイとメインボードを交換することになるので、5万円ぐらいかかるという。3万1800円のテレビを5万円で修理するならもう1台買えますよね、とサポートの人と笑い合って、処分することとなった。処分にも数千円かかる。
ある程度ネタのつもりで買ったものとはいえ、TCLの格安テレビは1年ちょっとしか保たなかったことになる。TCLもワールドワイドでは大手に成長したが、低価格であればそれだけどこかにしわ寄せが行くわけで、それが耐久性というところに現われた。
加えてチューナーレステレビを、「テレビのようには使わない」ということであれば、メーカーも想定していないところで問題が出る可能性もある。もし購入店で3年や5年の長期保証に加入できるのであれば、加入しておいた方がいいかもしれない。
またこの長期保証も注意が必要だ。筆者はドラム型洗濯機を長期保証で購入しており、修理を依頼したのだが、なんと保証期間中に保証会社が倒産するという憂き目に遭った。当然有料修理で、保証金のぶんだけ払い損である。あまりよく知らない会社のネット保証より、2〜3年では潰れそうにない大手量販店で買って、そこの保証に加入した方がいいだろう。
今年続々と登場しているチューナーレステレビだが、安いなりの覚悟はある程度必要かと思われる。1年後に購入者の悲鳴を聞かないことを願っている。
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