パナソニック「指定価格制度」 家電量販店はどう捉えているのか?:知らないと損!?業界最前線(3/6 ページ)
パナソニックが「メーカー指定価格」を導入し、話題になっている。一部のフラグシップモデルで販売価格を指定し、値引きを認めないというものだが、家電量販店は在庫リスクを負わずに済む。「指定価格」により、家電量販店は今後どうなっていくのか。また他メーカーは追従していくのだろうか。
家電量販店は表向きは好意的な態度を見せる
この施策に対して家電量販店側は概ね好意的な態度を見せている。一部、価格競争力のある(相対値引きが得意な)量販店からは反発があったものの、「価格交渉の時間がなくなり、その分、商品の説明がしやすくなる」といった前向きな発言も多い。
というのも、対象商品が競争力のあるフラグシップモデルに限られているからだ。現場の店員らの話は以下のようなものだった。
- フラグシップモデルはほぼ指名買いなので、値引きをしなくても購入を決める客が多い
- もともとフラグシップモデルの購入者は、パナソニックブランドを信頼していたり、パナソニックファンだったりと、パナソニック贔屓(ひいいき)が多い
- 競合店を横目に見ながらハードな値引き交渉をするストレスから現場は解放されるのだから、指定価格のほうがよい
- 目当ての製品の値引きができないことに落胆しているお客には、値引きができる下位モデルに誘導している。デザインや付加機能など、ちょっとした差で価格が大きく開くのでお得感があり、購入へとスムーズな流れになる。他社製品への振り替えも含めて、いかにお客を逃さずに買ってもらうかが販売員の腕の見せどころ
パナソニックの指定価格制度の真の狙いは、「リベートという慣習の排除を狙ったもの」と見る向きがあるが、「値引きのための原資だけでなく、そのほかにもさまざまな種類のリベートがあり、そう簡単にはなくならないだろう」(量販関係者)ということだ。また、もともとは値引き原資ための販売奨励金だったので、そもそも値引きがなければ高い利益率を確保できるのだから関係ないとする意見もある。
一方で、「ネット通販の排除を狙ったものではないか」という見方もある。ネット通販は価格下落の急先鋒であり、それに引っ張られて量販店のネット通販価格、店頭価格がドミノ式に崩れていく。また、正規に卸ルートを持っていないにもかかわらず、パナソニック製品を取り扱っているネット通販業者もいる。メーカー側が在庫を管理することで、こうした非正規ルートを撲滅できるのではないか、という見方だ。実際、指定価格製品の多くは、低価格がウリのネット通販から姿を消している。こうしたことも、家電量販店が同制度を好意的に捉えている一因になっている。
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