返品・交換がビジネスチャンスに? アメリカで体験した「Happy Returns」のUXがナイスアイデア:シリコンバレーから見た風景(2/3 ページ)
シリコンバレーのIT企業に勤務する五島正浩さんが見た現地のテック動向を紹介する連載「シリコンバレーから見た風景」。第21回は、デメリットが大きそうなネットショッピングの返品・交換をビジネスチャンスにした企業を紹介します。
World Marketでの返品
さて実際に返品する商品を持ち込める「Happy Return Bar」はどこにあるのでしょうか?
Happy Returnsと提携している宅配業者Fedexの営業所以外に、雑貨店のWorld Market、化粧品のUltra Beauty、そして文房具のStaplesなどの店舗でも持ち込めば対応してくれるとのこと。今回はWorld Marketに行ってみることにしました。
World Marketは家具、インテリア、コーヒーやビール、そして輸入の調味料やお菓子などを扱っているお店です。過去に一度だけ来たことがありましたが、ハロウィーンやクリスマスの季節物のオーナメントを買うときに来ると便利なお店という程度の印象で、すっかり存在を忘れていました。
店舗に到着するとすぐにレジに向かいました。返品するMelinの帽子は箱に詰めることもなくそのままの状態です。「返品したいんだけど」と言って店員の人にiPhoneでQRコードを見せると「ああ、Happy Returnsね」と慣れた感じ。QRコードの付いた透明な袋を取り出し帽子を入れてくれました。後は店員がタブレットでiPhone上のQRコードを読み取り、次に袋のQRコードを読み込んで「以上で完了」とのこと。あっという間でした。この後まとめて集配業者に渡されてMelinに戻っていくのでしょう。
レジを離れようとしたところ、Happy ReturnsからWorld Marketの10%割引のクーポンが付いたメールが送られて来ました。せっかく来たなら店内を見ていったらどうか、と言わんばかりのタイミングです。
Happy Returnsの受け取りをしている店は、返品の機会を使って店舗に集客し、買い物につなげようとしているのです。なるほど、良く考えられていますね。実際私も店内をぶらぶらと物珍しげに眺めて、買う予定のなかったランチョンマットとチョコレートを10%割引で購入してしまいました。購入金額はわずかですが、World Marketで何を売っているのか改めて知る機会になりました。ちょっと変わった輸入もののチョコレートを取り扱っていることが分かったのでまた買いに来てしまうかもしれません。
また今回の私のケースでは、返品ではなくサイズ変更に伴う交換になります。先の10%割引クーポンのメールとほぼ同じタイミングで、今度はMelinから交換品の送付を手配したとメールが来ました。Happy ReturnsのバックエンドシステムとMelinの直営オンラインストアがうまく連携しているのが分かります。
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