返品・交換がビジネスチャンスに? アメリカで体験した「Happy Returns」のUXがナイスアイデア:シリコンバレーから見た風景(3/3 ページ)
シリコンバレーのIT企業に勤務する五島正浩さんが見た現地のテック動向を紹介する連載「シリコンバレーから見た風景」。第21回は、デメリットが大きそうなネットショッピングの返品・交換をビジネスチャンスにした企業を紹介します。
Happy ReturnsはPayPal傘下
そもそもHappy Returnsとはどんな会社なのでしょうか? 調べてみると、2016年に創業したロサンゼルスの会社で、オンラインストアが抱える返品処理のコスト増加の問題を解決するとともに、購入者には最高の返品体験を提供することを目指している企業のようです。
創業者の二人は老舗デパートのNordstromに買収されたHauteLookで働いていて、メンバー限定のフラッシュセールのサービスや、オンラインストアの返品プログラムに関わっていたとのこと。
驚いたことにHappy Returnsは21年6月にペイメント大手PayPalによって買収されていました。でもよく考えてみると返品には返金処理が伴うわけで、これはオンラインペイメントと直結しますね。またオンラインストアが頭を抱える返品コスト増に対するソリューションを提供できればPayPalを利用するブランドも増える可能性があります。加えてPayPal自身もペイメントだけでなくオンラインショッピング全体のユーザ体験向上を目指して事業拡大できるかもしれません。
実際Happy Returnsを使ってみると、箱もラベルも不要になってここまで簡単になったのだから「Happy Return Bar」の対応店舗が増えてほしいと思います。通勤や買い物途中に気軽に立ち寄ってドロップオフできるくらいが理想です。PayPalは多くの小売店とのパートナーシップがあるので、これを利用して対応店舗が拡大することに期待したいです。
Melinの帽子のその後
しばらくして手元に交換品の帽子が届きました。今度のサイズはフィット感も期待通りで大満足です。Melinから今回の交換対応についてのフィードバックメールが来たので、もちろん5段階中最高の5で回答しました。
オンラインショッピングでは、私のようにサイズが合わない場合の他、思っていたのと違うなどといったことは起きうることです。また配送中に紛失や欠損するということもあります。こうしたトラブルが起きないように対策を練ることも大事ですが、起きたときにどうユーザーをサポートするかも重要です。
気に入っているブランドでも購入時のトラブルに対するサポートが不十分でがっかりした経験が何度もあります。今回のMelinのように迅速かつ柔軟にサイズ交換に応じてくれて、加えてHappy Returnsで簡単に返送ができたのはこれまでに経験してきた中でもベストな対応だったと思います。
そんな私の気持ちを見透かされていたのでしょうか、Melinから次回の購入で使える20%割引のクーポンコードが送られて来ました。やはり良い購入体験ができると、そのブランドへの信頼につながりますね。ついつい2つ目の帽子を買ってしまいました。
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