民間初の月着陸へ 国内ベンチャー開発の月着陸船が打ち上げ成功
月面資源開発に取り組むスタートアップispace(東京都中央区)は、SpaceXのロケット「Falcon9」に同社が開発したランダー(月着陸船)の打ち上げに成功したと発表した。
月面資源開発に取り組むスタートアップispace(東京都中央区)は12月11日、同社が開発したランダー(月着陸船)の打ち上げに成功したと発表した。ロケットはSpaceXの「Falcon9」を使用。12日には軌道上での安定した電源供給の確立と、ランダーの基幹システムに問題がないことを確認したという。
ランダーは、ispaceが手掛ける民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」において開発されたもの。成功すれば、民間初の月着陸になるとされている。ローバー(月面探査車)も独自開発しており、2022年の月面着陸に加え、2023年に月面探査ミッションの打ち上げを予定している。
HAKUTO-Rでは、打ち上げから着陸まで10段階のマイルストーンを設定。現在は、安定した航行状態を確立する「Success 3」の完了を予定している。今回のミッション1で得られたデータは。2025年までに後続するミッション2、より成熟した精度での月面着陸と月への輸送サービスでNASAのアルテミス計画に貢献するミッション3へとフィードバックする予定という。
ispaceは2010年に設立。日本、米国、ルクセンブルクの3拠点で活動しており、Google Lunar XPRIZEレースの最終選考に残ったチームの1つ「HAKUTO」を運営した実績を持つ。2022年7月時点で268億円を調達しており、月に高頻度かつ低コストで輸送するためのランダーとローバーを開発。民間企業が月でビジネスを行うためのゲートウェイを目指すとしている。
関連記事
- 国内初、民間企業による宇宙ステーション構想 スタートアップが発表 「2030年のISS退役後を見据える」
宇宙産業に関わるスタートアップ企業のデジタルブラストは、日本国内初となる民間主導での宇宙ステーション「民間宇宙ステーション(CSS)構想」を立ち上げると発表した。 - 日本初の月探査船「オモテナシ」、月面着陸を断念 「引き続き復旧を図る」
JAXAは22日、日本初の月探査機「OMOTENASHI」(オモテナシ)の月面着陸を断念したと明らかにした。通信が確立できなかった。 - 月への航行・着陸を補償 世界初「月保険」 三井住友海上が世界初
三井住友海上火災保険と宇宙ベンチャーのispaceが世界初の「月保険」を共同開発。ロケットの打ち上げから月面着陸までをシームレスに補償するという。 - 月面探査に「月保険」、民間参入受け提供 東京海上日動
東京海上日動火災保険が、月面探査機の故障や通信トラブルなどに対応する保険サービス「月保険」の提供を始めた。民間による月面調査の加速を見込んだ施策という。 - 変形する月面探査ロボット「SORA-Q」、22年度中に2度も月へ
タカラトミーは15日、開発中の変形型月面探査ロボットがJAXAの月着陸実証機「SLIM」(スリム)に搭載され、2022年度中に月面でのデータ収集を行うと発表した。愛称は「SORA-Q」(ソラキュー)に決まった。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.