AWS、MS、Metaらがオープンな地図データを実現する「Overture Maps Foundation」結成 2023年前半にはデータ公開へ
米AWS、米Microsoft、米Meta、オランダTomTomの4社がオープンな地図データを実現する「Overture Maps Foudation」を設立。先行して地図データを蓄積してきた米Googleや米Appleに対抗する動きとみられる。
この記事は新野淳一氏のブログ「Publickey」に掲載された「AWS、MS、Metaらがオープンな地図データを実現する「Overture Maps Foundation」結成。2023年前半にはデータ公開へ」(2022年12月19日掲載)を、ITmedia NEWS編集部で一部編集し、転載したものです。
オープンソースを推進する非営利団体のLinux Foundationは、米AWS、米Microsoft、米Meta、オランダTomTomの4社がオープンな地図データを実現する「Overture Maps Foudation」を同団体の傘下に設立したと発表しました。
Overture Maps Foundationのミッションは、現在と将来の地図サービス実現のために、信頼性が高く、使いやすく、相互運用可能なオープンな地図データを作成することとされています。
作成される地図データはOverture Maps Foundationの参加企業や市民団体、オープンデータなどからのデータソースを組み合わせて作成され、オープンデータライセンスの下ですべての人に公開される予定です。
地図のエラーや破損などを検出する検証作業も行い、本番環境で使える品質を確保。異なるデータセットのエンティティであっても同じ実世界のエンティティにリンクするシステムを提供することで、複数の地図データを組み合わせたアプリケーションを開発するための相互運用性の簡素化にも取り組む予定。
さらに、地図データのための構造化されたデータスキーマを定義、文書化し、その採用を推進することで、使いやすい地図データのエコシステムを構築するとしています。またFAQによると、Open Street Mapとは補完関係にあるとのことです。
Overture Maps Foundationからの最初のデータセットの公開は、2023年前半になる予定です。
地図データは、現在でも荷物の配送計画や店舗の出店計画、不動産情報などさまざまなシステムに活用されており、将来はメタバースや自動運転など、その活用範囲と重要性がさらに高まることが確実視されています。
米Googleや米Appleを始めとするいくつかの企業は、すでに何年も前から地図データの取得と蓄積、活用に取り組み、この分野で先行しているといえるでしょう。
今回のOverture Maps Foundationの発足は、AWS、Microsoft、Metaらがオープンデータを柱とすることで、こうした自社で地図データを蓄積してきた先行企業に追いつくための戦略的な動きのように見えます。
関連記事
- Microsoft、Azureなどでの無断仮想通貨マイニングを禁止
MicrosoftはAzureを含むオンラインサービス共通ライセンス条項を更新し、事前承認のない暗号通貨マイニングを禁止した。AWSやGoogle Cloudは2018年から禁止している。 - 中小企業がクラウドを“フッ軽”導入 GCP&ノーコード活用し3カ月でシステム調達 受注3割増につながったワケ
中小企業がクラウドとノーコードを活用し、3カ月でシステムを調達。これまで課題だった業務改善を実現した。短期間でのクラウド導入が奏功した理由をキーパーソンに聞く。 - 米国防総省がAWSなど“メガクラウド”4社と契約 90億ドル規模
米国防総省が、共通クラウド環境を構築するプロジェクト「JWCC」について、米AWS、米Microsoftなど4社と契約を結んだと発表した。米Reuterによれば、契約期間は2028年まで。約90億ドル規模の取引になるという。 - クラウドで大規模な空間シミュレーションが可能な「AWS SimSpace Weaver」発表 Unreal EngineやUnityとも連携
米AWSが、クラウド上で大規模な空間シミュレーションを可能にするコンピューティングサービス「AWS SimSpace Weaver」を発表。最大で10個のEC2インスタンス(仮想サーバ)に跨ってシミュレートが可能という。 - 「すずめの戸締まり」制作でもAWSが活躍 レンダリングで活用 エンドロールにも……
11月11日に公開となった新海誠監督の映画最新作「すずめの戸締り」。制作に当たってはレンダリングなどの用途にクラウドサービス「Amazon Web Services」を活用したという。エンドロールにもロゴが……。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.