日本を画像生成AIで再現する 「自分の見た景色」を学習したAIは強力な思い出再生装置に:清水亮の「世界を変えるAI」(1/3 ページ)
AIで漫画を書こうとするとひとつ不便なことがある。StableDiffusionの元になっている学習データは「全世界」の画像を使っているので、日本人がイメージするような「郵便局」とはまったく異なるイメージになってしまう。そこで街のあちこちの景色を写真に撮った。これをAIに学習させて、独自の日本的な画像生成AIを作ろうというのだ。
2022年の夏に登場した画像生成AI「StableDiffusion」はたくさんのバリエーションを生んだ。しかしその多くは、ネット上にある画像を学習させたものばかりだ。
特に開発が活発なのはイラストを学習させたものだが、最近になって、著作権に配慮した学習モデルの「Mitua-Diffusion」など、変わったものも登場してきた。また、AIを活用したアート作品を表彰する「第一回AIアートグランプリ」も1月15日から募集を開始した。
筆者自身も個人プロジェクトとして、StableDiffusionを誰でも無料で使えるWebサービス「Memeplex」を提供したり、前回のこの連載で紹介したように、AI漫画などを書いたりしている。
しかしAIで漫画を書こうとすると、一つ不便なことがあることに気がついた。StableDiffusionの元になっている学習データは、基本的に「全世界」の画像を使っている。
しかし漫画の舞台となるような場所は日本が圧倒的に多い。ところが、日本人が考える一般的なイメージと、世界の一般的なイメージがずれているものがけっこうあるのだ。例えば学校、郵便局、お店、タクシー、さらには救急車などだ。
そのため、郵便局(post office)をStableDiffusionに出力させるとこうなる。
米国の郵便ポストは青く、郵便関係の自動車も青い。
こうなると、いわゆる日本人がイメージするような「郵便局」とはまったく異なるイメージになってしまう。コンビニエンスストアやファミレスといった、日本人には馴染みのあるお店のイメージも、欧米と日本では随分違う。救急車やタクシーも同様である。
そこで筆者は、お正月の期間を生かして街のあちこちの景色を写真に撮ることにした。使用したカメラは「α7 III」と「iPhone14 ProMax」で、解像度としては十分なサイズだ。
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