AWS、4兆5000億円超のデータセンター投資を米バージニア州で計画 2040年までに
米AWSが、2040年までに米バージニア州に350億ドル(1ドル130円換算で約4兆5340億円)を投資し、同州内に複数のデータセンターキャンバスを設置する。米バージニア州知事Glenn Youngkin氏が発表した。
この記事は新野淳一氏のブログ「Publickey」に掲載された「AWSが4.5兆円超のデータセンター投資を米バージニア州で計画、2040年までに」(2023年1月23日掲載)を、ITmedia NEWS編集部で一部編集し、転載したものです。
米Amazon Web Servicesは、2040年までに米バージニア州に350億ドル(1ドル130円換算で約4兆5340億円)を投資し、同州内に複数のデータセンターキャンバスを設置する計画であると、米バージニア州知事Glenn Youngkin氏が発表しました。
米バージニア州は、2006年にAWSがクラウド事業を開始した際に最初にデータセンターが設置された場所です。現在でも同社が世界中に展開するリージョンのなかでも最大である6つのアベイラビリティゾーンが設置されている、同社のフラッグシップ的位置づけのデータセンターと言えます。
今回の発表の中で、AWSの経済開発ディレクターRoger Wehner氏は、AWSは2006年以来350億ドル以上をバージニア州に投資してきたと説明しています。
つまり2006年から現在の2023年までの17年間に同社がバージニア州に投資してきた金額と同じ額の投資を、同じくこれから17年間、2040年まで行うことを表明したことになるわけです。
ここから2つの意図を読み取ることができます。
最大のメッセージは、AWSが米バージニア州に対して「これまでと同様の投資を行う」というメッセージを送ることで、AWSの成長に欠かせないデータセンターの拡大に適切な土地やインフラを提供してくれる州政府との良好な関係を維持したい、ということでしょう。
そしてもう1つは、AWSは今後もクラウドサービスの基盤となるデータセンターに対して継続的に大規模投資をしていくとのメッセージを市場全体に対して発した、ということでしょう。
米バージニア州はメガデータセンターのためのインセンティブプログラムを検討中としており、このプログラムが議会承認されるとデータセンターの売上税と使用税の免税措置が最大15年間延長される予定です。AWSもその対象となり、それに加えて土地やインフラの整備、人材育成、その他のプロジェクト関連費用に対して、最大1億4000万ドルまで交付される資格を得ると説明されています。
世界最大のデータセンター集積地、バージニア州
米バージニア州は、AWSだけでなく、米Googleや米Facebook、米Microsoftを始めとして、多くの大手IT企業がデータセンターを設置する米国最大の、そしておそらく世界最大のデータセンター集積地となっています。
下記は調査会社の米Synergy Research Groupが2022年9月に公開した調査結果「Virginia Still Has More Hyperscale Data Center Capacity Than Either Europe or China」(バージニア州は依然として欧州や中国を越えるデータセンター密集地である)で示されたグラフです。
このグラフでは、世界の大規模データセンターの過半数が米国にあり、その3分の1程度がバージニア州に置かれていることを示しています。
記事では、データセンター事業者は適切な土地の有無、電力コストや入手性、顧客との距離、自然災害リスク、現地のインセンティブプログラムと承認プロセス、ビジネスのしやすさなどさまざまな条件を考慮してデータセンターの場所が検討されるとしています。
米バージニア州にデータセンターが集中する理由は、前述の州政府によるデータセンター誘致に向けたインセンティブプログラムを含む有利な要因が多いのだと見られます。
ちなみに、昨年(2022年)10月に来日したGoogle CEOのスンダー・ピチャイ氏は岸田首相と会見し、2024年までに日本のデータセンターやネットワークインフラなどに1000億円の投資を行うとしています。
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