「アナログ7項目」の撤廃で法を一気に変える 前デジタル副大臣が語る国の本気とは?
「各法律の中から、アナログ7項目を2年間で99%撤廃すると決めた」。なぜ法改正が重要なのか。理由の一つは、法律が、使い勝手の良いシステムを作る邪魔をするからだ。
「各法律の中から、アナログ7項目を2年間で99%撤廃すると決めた」。1月25日にfreeeが開催したイベント「バックオフィスの日 2023」にて登壇した小林史明前デジタル副大臣は、こう話した。
アナログ7項目とは、目視規制、実地監査規制、定期検査・点検規制、常駐・専任規制、対面講習規制、書面掲示規制、往訪閲覧・縦覧規制のことを指す。国も民間もデジタル化を進めたいが、実は法律や省令などに含まれるこれらの言葉がデジタル化を妨げている。
例えば税理士法人の税理士について「常駐」の規定があるため、コロナ禍にあっても、税理士のテレワーク化がなかなか進まないという現状があった。法律の各所に残るアナログ項目を、一挙になくそうというのが今回の取り組みだ。
これは2年前の2021年に行った「押印の廃止」が原体験になっている。ハンコをやめるためには法律を変えなくてはならない。「48本の法律に押印という文字が書いてあった」と小林氏。このときから、デジタル庁が音頭をとって、デジタル化に向けた法改正に乗り出してきた。
使いにくいのは「法律のせい」
なぜ法改正が重要なのか。理由の一つは、法律が、使い勝手の良いシステムを作る邪魔をするからだ。
「技術的にはできるが、セキュリティ上、また法律上こうなってしまうという場合が多い。そこで、デジタル庁を作るときに、システムの要件を決めるときは制度も触ると決めた」(小林氏)
小林氏はNTTドコモの出身だ。「サラリーマン時代に規制で嫌な思いをして、ルールを守る側から作る側に行こうと思って、国会議員になった」と振り返る。
「(法やルールで)おかしなところがあったらどんどん声を上げてほしい。声を上げたら変わるという成功体験を持ってほしい。ルールは変えられると思ってほしい」(小林氏)
freeeは「#freeeに願いを」というハッシュタグを付けたTwitter投稿から、要望を受け取っている。この話を受けて小林氏は「『#小林に願いを』とツイートしてもらったら私が拾っていきたい」と話し、デジタル化に向けた要望や法の問題点などを受け止める心持ちを明らかにした。
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