三菱重工、国産ジェット機の開発中止を発表 「事業性が見通せない」
三菱重工が、同社子会社の三菱航空機が開発していた旅客用ジェット機「スペースジェット」(SpaceJet M90)の開発を中止したと発表した。
三菱重工は2月7日、同社子会社の三菱航空機が開発していた旅客用ジェット機「スペースジェット」(SpaceJet M90)の開発を中止したと発表した。
同社は2008年に三菱航空機を設立し、スペースジェット(2019年から現名称。旧名称はMitsubishi Regional Jet)の本格的な開発をスタート。しかし、度重なる設計変更など開発の遅れから納期が先延ばしとなり、2015年に初飛行を実現させたものの、米FAAなど型式証明の取得に難航。2020年には「いったん立ち止まる」として、開発を事実上凍結していた。
開発中止の理由として、開発期間の長期化で脱炭素対応含め一部仕様の見直しが必要になった他、海外パートナーと必要な協力の確保が困難になったと説明。また、北米ではスコープクローズ(労使協定による期待サイズなどの制限)の緩和が進まず、M90では市場に適合しなかったこと、型式証明の取得にさらに巨額の資金が必要なため、北米などの市場で事業性が見通せないことなどを挙げた
特に、高度化した民間航空機の型式認証プロセスへの理解不足や、長期にわたる開発を継続して実施するリソースの不足などを反省点としている。その一方で、型式証明の取得に向けた機体の設計・製作・認証体制の整備、航空機開発プロセスのデジタル化に向けた技術情報獲得、世界レベルの飛行試験実施経験など、開発で得られた成果もあるとしている。
今後は、カナダ・ボンバルディアから取得したCRJ事業にて完成機事業に取り組む他、海外OEMとのパートナーシップ強化、完成機を見据えた次世代技術の検討などを進める。また、スペースジェット開発で培った知見を次期戦闘機(FX)に活用していくという。
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