中国版ChatGPT、異常な盛り上がりでカオス 出オチでClubhouseの二の舞も……:浦上早苗の中国式ニューエコノミー(3/6 ページ)
米OpenAIが開発した、自然な対話や文章作成ができる対話型AI「ChatGPT」が世界に衝撃を与えている。中国でも大きな変革のうねりに乗り遅れまいとお祭り騒ぎで、カオスっぽくなっているが、中国の反応は日本のそれとはベクトルが異なる。
AIは中国政府の方向性とも合致
ほとんどの人が使えないにもかかわらず、中国でChatGPTネタは大変な盛り上がりを見せている。そして日本と中国の反応はベクトルも違う。
前述したように日本では「使ってみた」例が多数シェアされ、企業がChatGPTを実装する動きも見られるが、対抗できる技術を開発しようという動きにはならない。GAFAと互角に戦えるメガテック企業がないし、投資の体力も限られているからだ。
一方中国は政府が欧米のネットサービスの多くを遮断していることもあり、BAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)、TMD(バイトダンスの旧ブランド名のToutiao、フードデリバリーで業界トップの美団:Meituan、配車アプリのDiDi)といったメガテック企業群が台頭し、しのぎを削っている。これら企業は技術と資金力があるし、ChatGPTは中国本土からアクセスできないので「中国版」を開発する大義名分も機会もある。
さらに2020年から続く政府のIT企業への締め付けを受け、どの企業も規制に引っ掛からないような有望市場を開拓する必要に迫られている。AIは5Gやブロックチェーンと並び政府が強化したい分野なので、同じ新興市場でも暗号資産が絡んでくるメタバースなどに比べると規制リスクが低い。
というわけで、投資家やメディアは「次のChatGPTになり得る中国企業」を血眼になって探している。あまりに前のめりなため、1年半前に大変な盛り上がりを見せながらも、その後は尻すぼみで「出オチ」になってしまったメタバースと同じ道を辿るかもしれないが、有望企業もないことはない。
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