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中国版ChatGPT、異常な盛り上がりでカオス 出オチでClubhouseの二の舞も……:浦上早苗の中国式ニューエコノミー(4/6 ページ)
米OpenAIが開発した、自然な対話や文章作成ができる対話型AI「ChatGPT」が世界に衝撃を与えている。中国でも大きな変革のうねりに乗り遅れまいとお祭り騒ぎで、カオスっぽくなっているが、中国の反応は日本のそれとはベクトルが異なる。
バイドゥが中国版ChatGPTの本命
「中国版ChatGPT」を開発できそうな本命企業が、BATの一角であるバイドゥであることはほぼ異論がない。
Microsoft、Googleがまず検索技術に対話型AIを使おうとしているように、同技術による「破壊と創造」が最も早く実現しそうなのは検索分野だ。バイドゥは中国最大の検索ポータルを運営し、「ググる」ことを中国では「百度一下(バイドゥイーシャー、ちょっとバイドゥするの意)」というくらい、検索のイメージが強い企業だ。当然「中国語」の膨大なデータを蓄積している。
次に、バイドゥはAIに数年前から巨額の投資を続けている。同社はスマートフォン時代への対応が遅れ、10年代後半以降アリババ、テンセントに差を広げられて、「BATの落ちこぼれ」となってしまった。
そこでAIと自動運転技術に投資し、EVにも進出するなど、血の入れ替え真っただ中にある。いずれにせよ、祖業で稼ぎ頭の検索と投資を強化しているAIの両方に強みを持っている。
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