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中国版ChatGPT、異常な盛り上がりでカオス 出オチでClubhouseの二の舞も……:浦上早苗の中国式ニューエコノミー(5/6 ページ)
米OpenAIが開発した、自然な対話や文章作成ができる対話型AI「ChatGPT」が世界に衝撃を与えている。中国でも大きな変革のうねりに乗り遅れまいとお祭り騒ぎで、カオスっぽくなっているが、中国の反応は日本のそれとはベクトルが異なる。
実際にバイドゥは2月7日、「ERNIE Bot(文心一言)」と名付けた対話型AIの社内テストを3月までに完了し、正式にリリースすると発表した。同社はSNSで大量のテキストデータをAIに与えて学習させる言語モデルのERNIEの開発を19年から進めており、言語理解、言語生成、テキストからの画像生成など大きな進歩を遂げていると説明した。
日本メディアを見ていると、既に中国版ChatGPTがリリースされたとの情報もあるが、今出ているのはにぎやかしのようなもので、他社が協業するような「まっとうな」サービスを最初にリリースするのはバイドゥでなければならないとの思いは、同社自身が一番持っているだろう。現地報道によると開発部隊は3月に何としてもリリースを間に合わせるようきついプレッシャーをかけられているようだ。
既に300社以上がERNIE Botとの協業を表明している。目下、対話型AIの最大の特長が「自然な文章を作成できる」ことであるため、協業相手には「毎日経済新聞(中国の経済メディア)」などメディアが目立つ。
バイドゥは今年、EV子会社「集度汽車」から最初の量産車の発表も控えている。同社の夏一平CEOは、同社のロボタクシーにERNIE Botを搭載する意向を表明した。“EV+自動運転+対話型AI”で話題性は大きいが、具体的なことはよく分からない。
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