Microsoftの中の人、「新しいBing」のAIモデル「プロメテウス」を解説
Microsoftの「新しいBing」のAIモデル「プロメテウス」について、検索とAI担当CVPが解説した。OpneAIの次世代GPTとプロメテウスを組み合わせることで、最新の情報をチャットで提供できるようにしているという。
米MicrosoftがOpenAIのLLM「ChatGPT」採用の「新しいBing」を公開して2週間以上が経過した。Microsoftで検索とAI担当のCVP(コーポレートバイスプレジデント)を務めるジョルディ・リバス氏が2月22日(現地時間)、Microsoft傘下のLinkedInに「Building the New Bing」というブログを投稿し、新しいBingについて解説した。
新しいBingでは、OpenAIが昨夏に共有した「GPT-3.5よりはるかに強力な、ChatGPTを強化するLLM」(「GPT-4」とはしていない)を採用している。この次世代GPTは強力ではあるが、他のLLMと同様にトレーニングデータが古い(GPT-3.5のトレーニングデータは2021年までのもの)ため、Bingのバックエンド機能と組み合わせることで最新データを利用できるように開発したのがAI技術「Prometheus」(以下「プロメテウス」)だ。
リバス氏によると、プロメテウスは「新鮮で包括的なBingのインデックス、ランキング、回答結果を、OpenAIの推論機能と組み合わせたAIモデル」。
プロメテウスはGPTとBingの機能を使い、「Bing Orchestrator」を介して一連の内部クエリを繰り返し生成することで、チャット形式でユーザークエリに正確で豊かな回答を提供することを目的としているという。
プロメテウスは、ユーザーの問いかけから関連するクエリを選択し、Bingの検索結果を活用する。リバス氏は、Microsoftが「grounding」と呼ぶプロメテウスの機能を図解した。
この図では、ユーザーのクエリあるいはチャットでの質問をまずBing Orchestratorで個別のクエリに分解してBingのインデックス、ランキング、回答結果と照合し、その結果を次世代GPTが要約、合成、チャット化したものを回答として出力する様子を表している。
また、groundingによって回答で引用したソースのリンクを明示するようにしたのは、「ソースにトラフィックを送ることは健全なWebエコシステムにとって重要だ」からとしている。
groundingは目覚ましいイノベーションだが、まだ改善の余地が大きいのでフィードバックを求めるために「新しいBing」のプレビューを公開したという。
フィードバックに基づき、プロメテウスに送るgroundingデータを今後4倍に増やし、チャット回答の精度を上げる計画だ。
最近セッション回数に制限を設けたのも、フィードバックに基づくもので、現在改善に取り組んでいる。
リバス氏は「これはほんの始まりに過ぎない。今後数週間から数カ月にわたって、さらに多くの情報を共有していく」と語った。
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