VRリズムゲームでのプレイヤーの動きから個人を特定するAI 数秒の動きから判断 識別精度は94%:Innovative Tech
米UC Berkeley、ドイツのRWTH Aachen、米国のテクノロジー企業Unanimous AIに所属する研究者らは、VRリズムゲーム「Beat Saber」(ビートセイバー)のプレイヤーの動きからその人を特定する機械学習モデルを提案した研究報告を発表した。
Innovative Tech:
このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。Twitter: @shiropen2
米UC Berkeley、ドイツのRWTH Aachen、米国のテクノロジー企業Unanimous AIに所属する研究者らが発表した論文「Unique Identification of 50,000+ Virtual Reality Users from Head & Hand Motion Data」は、VRリズムゲーム「Beat Saber」(ビートセイバー)のプレイヤーの動きからその人を特定する機械学習モデルを提案した研究報告である。
頭部と手の数秒の動きを頼りに、5万人以上のプレイヤーからその人を94%以上の識別精度で特定することに成功した。
研究者らは、まずBeat Saberをプレイするユーザーを250万回以上録画した映像データを取得し、大規模データセットを作成した。データセットには、40カ国以上で20種類以上のVRデバイスを使用する5万5541人のVRユーザーが含まれる。
1人当たり5分間のデータで分類モデルを学習させたところ、100秒間の頭部と手の動きから94.33%、10秒間の動きから73.20%の精度で、5万人を超える候補者の中からプレイヤーを特定することができた。
またリプレイ数が多いほど識別精度は上がる傾向が見られた。100件以上のリプレイを行った5000人程度のユーザーでは、99.5%以上の高精度で識別することができた。ベテランユーザーは動きに一貫性があり、再現性が高いからと分析する。
これらの結果は、顔や指紋などの生体認証のようにプレイヤーの動きがVRアバターにおける識別子となり得ることを示唆した。
Source and Image Credits: Nair, Vivek, Wenbo Guo, Justus Mattern, Rui Wang, James F. O’Brien, Louis Rosenberg and Dawn Song. “Unique Identification of 50,000+ Virtual Reality Users from Head&Hand Motion Data.”(2023).
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