“チームで映像制作”を超ラクにする「コラボレーションツール」って一体何?
映像制作現場で普及し始めたクラウドコラボレーションツール。これまでは「リモート作業を実現するツール」という立ち位置だったが、「映像制作を効率化するツール」として浸透するようになった。一体、コラボレーションツールにはどういう魅力があるのだろうか。
「クラウド」と聞くと何を思い浮かべるだろうか。大体は、AWSやAzure、GCPといったパブリッククラウドであったり、SaaSなどのWebサービス、「Google Drive」や「OneDrive」などクラウドストレージを思いつくかもしれない。しかし、クラウドはあらゆる業界・産業で利用されるようになっており、業務効率化を後押ししている。一見関係が無さそうな映像制作分野もその一つだ。
最近はYouTubeやTikTokなどの普及もあり、映像制作という行為がかなり浸透している。一番手軽なものだとスマホで撮ってアプリで編集、そのままSNSにアップするというものだろう。デジタル一眼カメラもハイクオリティな動画を撮影できるようになったので、多くの映像クリエーターが誕生した。撮影から編集までワンオペでできることも増えたが、やはり規模が大きい撮影になると複数人での共同作業は避けられない。特に、プロの現場ではチームで制作するのが一般的だ。
しかしコロナ禍以降、そのチームプレーに大きなブレーキが掛かるようになった。1カ所に複数人が集まれない状況が続き、ロケハンはオンライン、本番撮影もカメラマンなど必要最小限の人数で行い、ディレクターはリモートで指示出し。「編集室」に集まって作業することもなく、オンラインでやり取りすることが多くなった。あるCMディレクターによれば、感染拡大防止で海外渡航に制限があったころは、海外ロケの全てを現地のカメラスタッフに任せ、ロケハンから撮影まで終始オンラインで参加したケースもあると聞いた。
このリモート作業を実現するのがクラウドを使ったコラボレーションサービスだ。いわゆる「Slack」の映像版とでも呼べるもので、ディレクター、エディター、カメラマン、クライアントなど複数の関係者がリモートで共同作業するための機能が組み込まれている。サービスによって違いはあるが、ストレージ機能を備えているものは、カメラで撮影した映像データをクラウドにアップロードし、エディターやディレクターは場所を問わずどこからでも素材にアクセスできる。
いわゆる数GBぐらいのデータなら「今の時代なら普通では?」と思われそうだが、映像制作の現場では多いとTB級のデータも飛び交う。それでもクラウドベースのストレージが使われ始めている。さらに、編集したプロジェクトをクライアントに共有し、どこをどう修正してほしいかオンライン上でコメントやペンツールで指示してもらうこともできる。「データをアップするためのクラウド」だけではない作業の効率化も実現している。
こうしたサービスは、コロナ禍まで「リモート作業を実現するツール」という立ち位置だったが、インターネット回線の高速化や、場所に縛られずそれぞれのスタッフが離れていても作業できる利便性から「映像制作を効率化するツール」として浸透するようになった。そんなコラボレーションツールにはどんなバリエーションがあるのか。短期連載として各サービスを紹介していく。
特集:知ってる?「クラウドワークフロー」
コロナ禍で映像の作り方が大きく変わりました。遠隔同士での作業を実現したのがクラウドを活用したコラボレーションツールです。こうしたクラウド技術を使ったワークフローについて紹介します。
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