“AR定規”は引っ越しで活躍する? 試して分かった魅力と課題:遊んで学べる「Experiments with Google」(第32回)(2/2 ページ)
AR定規の精度はどのくらい? スマホ1つで物のサイズを測れるWebアプリ「Measure Up」を実際に使って誤差を調べてみた。実用的なのか?
引っ越したての部屋は殺風景? ARで絵画を飾ってみよう
Measure Upを使って無事に引っ越しを終えたとしよう。引っ越したての殺風景な部屋は寂しい――そんなとき、絵や彫刻を飾りたくなる。そこで役立つのが、絵画をARで部屋に飾れる「Art Projector」や、さまざまな物を置ける「Objects in Augmented Reality」だ。これらは、Googleのアート紹介プロジェクト「Google Arts & Culture」のスマホアプリ内で使える機能だ。
ゴッホ「星月夜」を自室にARで飾る Art Projectorを試した
Art Projectorは、アウトカメラ越しの部屋の映像に実物大の有名絵画をAR表示できる。美術館でしか見られないような傑作も、自分の部屋で好きなように堪能できてしまう。
早速使ってみた。雄大な絵を選びたかったので画家カナレットの風景画「Bacino di San Marco, Venice」。大きな絵だろうと予想していたが、ここまで大きいとは思わなかった。大き過ぎてこの部屋には飾れない(サイズ感は以下動画で確認してほしい)。仕方ないので別の絵にしよう。
次に、青空と鮮やかな紅葉のコントラストが美しい横山大観の屏風絵「紅葉」をAR表示してみたが、これも失敗だ。あまりにも長く、持て余してしまう。部屋には飾れないサイズだが、実物大の絵に近づいて見られるArt Projectorの機能が素晴らしい。細かい筆運びや色の合わせ方など、時間を忘れて見入ってしまった。
もう少しコンパクトな絵はないだろうかと探して、ゴッホの油絵「星月夜」にしてみた。これなら部屋にちょうど良い大きさだ。近づけば油絵の具を塗り重ねた質感を堪能できる。できるならば本物を飾りたくなる。
ムンクの油絵「叫び」も飾りやすい。近づいて見ると、縁の部分が傷付いているところなど、生々しさを感じられて見飽きない。
他の名画も飾ってみよう。フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」がこんなに小さな作品だとは知らなかった。近寄ると、絵の具のひび割れまで見られて興味深い。レオナルド・ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」も負けていない。葛飾北斎の「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」も面白い。その小ささに驚くし、油絵とは異なる版画の質感も体感できる。
彫刻をARで部屋に置く 動物の“召喚”も可能
もう一つ紹介するアプリの機能がObjects in Augmented Realityだ。は、Art Projectorを発展させたようなツールで、絵画だけでなく彫刻や建築物、太古〜現代の動物など多種多様な物の3Dモデルが用意されており、AR表示できる。
例えば彫刻を実物大で表示すると大きさに圧倒されるし、建築物はARで内部へ入っていくことも可能だ。
ちなみに、物体の3DモデルをAR表示するという機能は、Google検索にも搭載されている。例えば「ねこ」を検索すると、ネコの画像や関連サイトなどが表示される。少し下にスクロールして現れる「3D表示」をタップし、さらに「周囲のスペースに表示する」をタップするとARのネコが登場する。大きさだけでなく動きや鳴き声もリアルで、本物のネコがそこに居るように感じてしまった。
ネコならいつでも実物に触れられるが、恐竜は不可能だ。しかしARを活用すれば、疑似的とはいえ文章や絵よりも実体験に近い学びが得られる。改めてARの価値を実感できた。
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