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サイフォン式も登場で高級化進む 「コーヒーメーカー」の進化と矛盾知らないと損!?業界最前線(5/5 ページ)

タイガー魔法瓶が2023年1月、サイフォン式コーヒーメーカー「サイフォニスタ」で高級コーヒーメーカー市場に参入した。総務省の家計調査によるとコーヒーの消費量は2010年以降ほぼ右肩上がりだ。コーヒーメーカー市場は、今後どのように進化していくのだろうか。

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コーヒー市場はニッチに進んでいく

 しかしコーヒーメーカーには、矛盾点がある。それは、高級モデルでもプロのハンドドリップには敵わない点だ。実は家電製品全般に共通するジレンマでもあり、高級炊飯器もかまど炊きご飯には敵わない。家電製品は、誰でも手軽にワンタッチで、調理などを行える点が最大のメリットなのだ。

 さらにコーヒーメーカーが難しいのは、コーヒーが嗜好品だという点。高級モデル未満であれば好みの味の再現が重視されるし、美味しさを追求すると高級コーヒーメーカーに人気が集まる。しかし本当に味を追求し続けると、ハンドドリップに行き着いてしまうのだ。手軽さと美味しさ、そして製品価格の高いレベルでのバランスが求められている。


サンコー「ムラなく焙煎電熱直火式コーヒーロースター」(実勢価格1万1800円)。100〜240℃の範囲で無段階温度調節ができコーヒー豆の焙煎が可能。 回転羽根がまんべんなく豆を混ぜてくれる

 嗜好品としてのコーヒーを抽出するコーヒーメーカーは、味の好みがさまざまだからこそ正解がなく、製品化が極めて難しい家電といえる。

 最近ではミル付きの全自動コーヒーメーカーに加えて、 自宅で生豆を焙煎できる家庭用焙煎機も増加している。コーヒー関連市場が拡大すればするほど、サイフォニスタや、家庭焙煎機のようなニッチな製品も増えてくる。

 大ヒットが生まれるというよりは、嗜好品であるためにさまざまな好みに対して多種多様な方向性に進化を続けるのが、コーヒーメーカー市場の特徴だといえるだろう。

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