Google、GPT競合のLLM「PaLM」のAPIを提供へ 生成系AIアプリ開発を支援
Googleは、大規模言語モデル(LLM)「PaLM」のAPIを発表した。PaLMのトレーニングツール「MakerSuite」と生成系AIアプリ開発プラットフォーム「Generative AI App Builder」も発表。まずはプライベートプレビューで提供を開始する。
米Googleは3月14日(現地時間)、大規模言語モデル(LLM)「PaLM」のAPIを発表した。開発者はこれにより、生成AIを使って次世代アプリを構築できるようになる。また、PaLMのトレーニングに使えるツール「MakerSuite」も発表した。プライベートプレビューで一部の開発者に提供を開始する予定だ。
PaLMはGoogleが2022年に発表したLLM。最大規模のモデルはパラメータ数が5400億と、米OpenAIのLLM「GPT-3」の1750億よりはるかに大きい(OpenAIが同日発表した「GPT-4」のパラメータ数は非公表)。
APIで利用できるのは「サイズと機能の面で効率的なモデル」としているので、5400億パラメータのモデルではないようだ。「他のモデルとサイズも近日中に追加する」という。
MakerSuiteを使うと、プロンプトを反復処理し、合成データでデータセットを拡張し、カスタムモデルを簡単に調整できる。この調整で、Google Cloudを使うことでWebブラウザでも実行できる。
同社は、Google CloudでPaLMを利用できるようにするために、「Vertex AI」での生成系AIのサポートと「Generative AI App Builder」も提供する。
Vertex AIは、機械学習モデルやAIアプリを構築・デプロイするためのAI開発プラットフォーム。まずはテキストや画像を生成する基礎モデルを提供し、将来的には音声や動画にも対応する計画だ。
Generative AI App Builderは、botやチャットインタフェース、検索エンジン、デジタルアシスタントなどの新たな体験を開発するためのプラットフォーム。開発者はこれにAPIでアクセスし、生成系アプリを開発できる。
Googleは同日、Google Workspaceへの生成系AI機能の追加も発表した。
Google Cloudのトマス・クリアンCEOは発表文で「Googleは長年AIに投資しており、その恩恵を個人、企業、コミュニティにもたらしてきた。最先端の研究の公開、役立つ製品の構築、ツールやリソースの開発など、われわれはすべての人がAIにアクセスできるようにすることに取り組んでいる」と語った。
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