球状太陽電池の性能を測るJIS規格が登場 “発電するガラス”など普及に弾み
経済産業省は20日、球状太陽電池の発電性能測定方法に関するJIS(日本産業規格)を制定した。スフェラーパワーが提案する積分球を使う測定方法を採用した。
経済産業省は3月20日、球状太陽電池の発電性能測定方法に関するJIS(日本産業規格)を制定した。これまで過小評価されていた球状太陽電池の性能を適切に評価できるようになり、普及促進に寄与するとみている。
球状太陽電池は、直径数mmほどの小さな球状とすることで、全方向からの光を受けるようにした太陽電池セル。球状太陽電池は平面の太陽電池に比べて設置方向の制約が少なく、ガラスやアクリルに埋め込んで“発電するガラス”を作るなど幅広く応用できる。しかし従来の評価方法は一方向からの光しか当てず、球状太陽電池セルにとっては過少評価となっていた。
経産省は新市場創造型標準化制度を活用してスフェラーパワー(京都市下京区)が提案する積分球を使う測定方法を採用し、「JIS C 8947 球状太陽電池セルのI-V特性測定方法」を制定した。新市場創造型標準化制度は、既存の業界団体では対応できない先端技術などの標準化を進めるための制度で、一定の要件を満たせば企業は業界団体などの協力が得られなくても規格制定に挑戦できるという。
経産省はJIS制定により「球状太陽電池セルの発電性能を適正に評価できるようになり、光透過性を維持しつつ朝夕でも発電効率が高い“窓ガラス”などの建材や、電源を備えたセンサー、テントなど新たな製品の市場形成に寄与する」としている。
スフェラーパワーは、2012年に京都セミコンダクター(京都市伏見区)から独立した光半導体デバイスメーカーで、小径球状太陽電池「スフェラー」と応用製品を展開している。製造拠点がある北海道恵庭市では同社の球状太陽電池を搭載したインテリア照明をふるさと納税の返礼品にしている。
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