テスラ超長距離旅で分かった、“日本式”充電インフラの弱点 他のEVには致命的かも:走るガジェット「Tesla」に乗ってます(4/4 ページ)
昨年の11月末、Model 3で横浜から長崎の往復3000kmの旅をしてきました。前編では、長崎までの往路の様子をお伝えしました。本稿では、旅の主目的である、潜伏キリシタンゆかりの地巡りや復路におけるModel 3の運行状況を充電を中心にお伝えします。
心が折れた「CHAdeMO充電」
さあ、横浜の自宅に向けて激走です。途中、宝塚北SAにバッテリー11%で到着し、30分間で約21kWhの充電を行いました。充電途中、日産リーフがやってきて、助手席の女性が降りてきたかと思うと、筆者が利用中の充電器の表示を確認し、車中の男性に向けて「あと、17分!」と大声で知らせていました。その後、リーフは充電待機エリアに並びました。宝塚北SAのような大規模SAで充電器が1基しかないのはいかがなものかと思います。
さて、ここで心が折れました。本連載のネタとして、復路は、尺取り虫のようにSAのCHAdeMO充電を渡り歩きながら帰路につく予定でしたが、急遽とりやめです。1回の充電で120〜130km分しか充電できない上に、日曜日ということもあり充電渋滞に遭遇する確率が高いと判断したからです。つまり、CHAdeMO充電が面倒くさくなったわけです。
結局、新名神道の草津田上で一時退出し、往路でも利用した大津スーパーチャージャーに立ち寄り、約420km先の横浜まで無充電で到達できる約60kWh、バッテリー容量99%まで充電しました。充電時間は50分程で、その間、トレイ、仮眠、買い物を行いました。
以後の行程では、食事や仮眠など、休憩を入れつつ、自宅にはバッテリー残21%で到着しました。もちろん、大津以降は、無充電走破です。というわけで、旅の最後の最後で「Teslaのスーパーチャージャーは神」ということを痛感したしだいです。今回の全行程において、インターチェンジの途中退出で発生した初乗り追加料金、2060円を考慮してもスーパーチャージャーを利用した方がコスパ的にも有利です。
私はModel 3以外のEVの運用経験はありません。しかし、今回の体験から、現状、CHAdeMO充電だけでEVを運用するのは、それなりのストレスを覚悟しなければならないことを痛感しました。
最初からModel 3やスーパーチャージャーを知らなければ、そんなものかと割り切ることができるのかもしれませんが、Model 3での運用を知った今となっては、CHAdeMOしか対応できない他社製EVに触手を伸ばすことはない、というのが正直な気持ちです。
今後、CHAdeMOのネットワークも進化し、大容量化されたり、充電器が増設されるとは思いますが、少なくとも現状ではTesla以外考えられません。
EV懐疑論者からは「ハイブリッドかガソリン車にすればいいじゃん」と突っ込まれそうですが、Model 3は、充電や航続距離というネガティブな要素を補ってなお余りある、他の何物にも代えがたい独自のユーザー体験をもたらしてくれることは付記しておきます。
また、本稿では触れませんでしたが、運転支援であるオートパイロットの優秀さが、運転の疲労軽減に寄与したことは間違いありません。3000km超の長旅を経験してModel 3の魅力を再認識することができました。最後に全行程の電費や充電コスト、地図上の経路といった情報を掲載しておきます。
著者プロフィール
山崎潤一郎
音楽制作業の傍らライターとしても活動。クラシックジャンルを中心に、多数のアルバム制作に携わる。Pure Sound Dogレコード主宰。ライターとしては、講談社、KADOKAWA、ソフトバンククリエイティブなどから多数の著書を上梓している。また、鍵盤楽器アプリ「Super Manetron」「Pocket Organ C3B3」「Alina String Ensemble」などの開発者。音楽趣味はプログレ。Twitter ID: @yamasakiTesla
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